テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
⬜︎ 妄想賄賂 ⬜︎
⚠︎
・ライバーが死亡する表現
・ホラー表現
・流血表現
・白狼には特別に能力がある的な設定
(角よりも人間離れ)
・キャラ崩壊
・カップリングあり(hsrb×kyng)
・ただの私の性癖
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▶︎賄賂
「 ロウ、来たで〜 」
「 …、まな、… 」
マナが小さな肩掛けバッグを手に持ちながら
俺の家に来た。
いつも通りの光景だった。
「 随分と暴れとるなぁ、今回は 」
「 ごめ、 」
「 全然ええよ、笑 」
「 今回、のは…? 」
「 ええもん持ってきたで〜 」
マナが小さな肩掛けバッグを開けて、中から小さいメモ帳を一枚出した。
すごく小さく折られていて開けた時にはクシャクシャになっていた。
「 ロウ、今日はな、星導帰ってこれへんって。 」
「 …今日は、じゃなくて…今日もじゃん、… 」
体を丸めて寝転がる。
白狼の能力で体を小さくして小さい声で呟く。
「 でも今日は星導がええもん届けてくれたみたいやで?受け取ってもらえるか? 」
「 ……、いい 」
「 なんや、つれないなぁ。 」
マナが困り眉になって話す。
小さな声で『 今日も失敗やな 』と呟いているのが俺には聞こえた。
「 星導が帰ってくるまでお預けなん?」
「 それは、…やだ 」
「 星導が帰ってきたら何して貰いたいん? 」
「 …、ぎゅって、… 」
「 なんや、あの頃はあんなに嫌がってたんに、結構好きやったんやな? 」
「 …星導、あったかいから… 」
「 ええねぇ、俺も今度……、いやなんでもない。 」
いっつもある事。
マナが何故か言おうとした事を止める。
意味がわからない、なんでなのか。
「 ロウは、ずっと元気でな。 」
「 ……、ん 」
「 じゃあロウ、今日は何をくれるん? 」
「 …、嘘ついたから、無し。 」
「 ひどいなぁ、そんな事したら、一生取引成功せんて! 」
「 まぁでも、しゃぁないな。じゃ、ロウ。また明日頭捻ってくるわ。 」
「 ……、 」
俺は黙って手を振った。
最期かもしれないから、口からのコミュニケーションが難しくても、
ジェスチャーはする。
沢山の布に体を疼くめる。
あたたかい、あの人の匂いがした。
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▶︎雨と公衆電話
『プルルルル、』
電話のバイブ音が小さな部屋に鳴り響く。
〔 ……、はい 〕
「 …!!、ほしるべ、! 」
〔 …なんで話しかけたの。 〕
「 ッぇ、 」
〔 そもそも、…俺は小柳君から避けるためにここにいるのに… 〕
「 避け、…る、… 」
〔 俺、粘着質な人は嫌いだから。 〕
『 ツー、ツー、 』
「 き、…られ、…た… 」
粘着質な人は嫌い、
俺から避けるために、
なんで話しかけた、
なんで、なんで、なんで、…
「 なんで、…ッそんな、ことッ…いうっ、…の、 」
また10円を入れて、いつも通りの電話番号を入力して、
電話をかける。
『 プルルルル、』
〔 この電話番号は、現在使用されていません 〕
星導、…俺から避けるために、スマホ捨てた、…?
やっぱり嫌いだった、?
俺のことがストレスだった?
「 なんでだよッ、! 」
外にも聞こえる低く大きい声が響く。
雨が降っており、ビタビタビチャビチャと音が聞こえる。
「 ッうるさい、うるっさいんだよッ、!! 」
「 黙れよ全部ッ、黙れよぉッ、!! 」
涙が流れる。
もう嫌だ。
車が走る音や、雨の音、人の声、足音。
白狼だから聞こえる音が多すぎる。
耳に音が触れる度に、苦しくなる。
「 ッう“るさい、ッ、……うる”さいんだってッ、… 」
呼吸が荒くなる、息が苦しくなってくる。
「 ッはぁ”ッ、…あ“ッ、はぁ”ッ、… 」
苦しくて公衆電話ボックスのドアを開けれずにいる。
「 ッしね、ッしね“よぉッ 」
涙が流れる。
溢れて、溢れ続けて、止まらない。
その夜は、公衆電話ボックスの壁を支えにして、
公衆電話ボックスの中で過ごした。
家に帰らず、食事も取らず、昼まで寝て過ごしていた。
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▶︎涙の賄賂
「 ッロウ! 」
昼の11時、マナが公衆電話ボックスまで迎えにきてくれた。
マナは息が荒く、走ってきた事がわかった。
「 、…ま“、……な”、 」
「 …喉、大丈夫か? 」
夜に叫んで、その上食事もとってないため、喉に響いていた。
声は枯れて、出しづらかった。
「 辛かったやろ、…ほら、家帰ろうな? 」
「 ……、 」
俺は小さく頷いて、マナについて行くことにした。
しばらくして家に着き、ガチャリとドアを開ける。
その瞬間、落ち着くような、星導の匂いがした。
「 ほら、今日も賄賂。持ってきたで。 」
「 …、 」
正直、今日も失敗させてやろうと思った。
「 星導が、ロウとはもう会いたないって。 」
「 ッは、お前、わざとだろッ、 」
「 しゃぁないやん、これしか手ェはなかったし、妄想っちゅうのはそう言うもんやで。 」
「 ッてめぇ、…っ 」
体を大きくしてマナの胸倉を掴んだ。
「 ロウ、星導は小柳の事嫌いやって、 」
「 ッ黙れよっ、てめッ、 」
目からは涙が止まらなくて、苛々していた。
「 本当のこと…だったのに…っ、 」
だんだん力が入らなくなって、マナを下ろす。
体が小さくなっていく。
「 は、…? 」
「 星導の状況が分かってないでやってるんだったら相当だな。 」
「 賄賂をもってこい言うたんはそっちやろ。 」
「 もう黙れ、… 」
「 報酬は? 」
「 …、ライの、ハンマー持ってけよ。 」
「 …お前、それもわざとやんな? 」
「 わざとだよ。 」
大きなハンマーを持ってマナは外へ出ていった。
初めて取引が成功した。
今までの妄想たちは、全てメモに入れてある。
そのメモを鞄に全て入れた。そして俺はカバンを持って、外に出かけた。
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▶︎あいにいく
俺は誰にも姿を見せずに1人で北の地に着いた。
さむくて、上着を脱げなかった。
「 ほし、…るべ。… 」
星導はどうせ、俺にあったら逃げるだろ。
嫌いいなんだから、俺が。
紫色の影が見える。
「 …!ほしる、 べ、… 」
「 は? 」
彼の目に光はなかった。
目元には涙の跡や、擦って赤くなってしまった跡があった。
「 ほしる、べ! 」
嬉しかった。
走って近寄った。
その瞬間俺はビンタされた。
「 なんで、きたのさ。 」
「 星導に、あいに… 」
「 …どうせ、必要ない事。 」
必要のない事、確かにこの行動は、必要のない事だった。
「 …、なんで避けてるか。わかった? 」
「 は、ぇ、? 」
「 …、俺、変身解けなくなったんだよ。 」
「 …ぇ、あ、…? 」
「 こんな醜いさ、俺…嫌じゃん。というか、…俺が嫌だから… 」
「 …、は、 」
そんな事。
俺は力が入らなくなり、鞄落とした。
その瞬間に、鞄は開いて、中からクシャクシャになったメモが置いてあった。
「 …なにそれ。 」
「 ぁ、ちょ! 」
「 星導は、…なんだ、全部マナの字じゃん。 」
「 妄想、…か。 取引でライのハンマーを、… 」
「 …、やめて、 」
涙が溢れ出てきた。
俺の手にはサバイバルナイフが握られていた。
「 い“、ッ…! 」
「 やめろよ、…ッ 」
「 俺の事嫌いって言ってたくせに、気持ち悪い! 」
星導の急所には既にサバイバルナイフが刺さっていた。
「 ……、 」
ごふっ、と星導は沢山血を吐いた。
近隣に人はいなかったため、誰にもバレずに星導を殺すことに成功した。
「 …、これでずっと一緒だ。 」
空家の中で俺は星導の死体を抱きしめた。
とある記憶を思い出した。
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▶︎雨の日の帰り道
その日は雨が降ってた。
今と比べてすごくカラカラな床を歩いて、ベランダの窓の先を眺めてた。
「 …、 」
電気をつけていなかったから部屋はとても暗かった。
自分も喋っていなかったため、雨の音と自分の呼吸の音がうるさかった。
その時ガチャっと音がし、表情を明るくした。
「 ほしるべ、! 」
走って玄関に向かった。
「 ほしるべ、… 」
絶望だった。
星導は顔に傷を沢山負って、変身を解かずに帰ってきた。
血まみれの触手は、星導の傷と相手の返り血が混ざっていて気持ち悪かった。
その部屋には鉄の匂いが密集した。臭かった。
「 星導、…? 」
「 はなし、…かけないで。 」
星導は、俺に顔だけ見せて外へ出ていった。
その日から俺は1人だった。
その後日も続いて雨が降った。
その日から、俺は部屋を散らかした。
服を漁っては埋もれ、心を落ち着かせていた。
しばらくの日喋らなかった。だから急にマナが家に来た日は久しぶりに声を出したから、
すごく声が枯れていた。そもそも食事もとっていなかったから、
呼吸も浅くなっていた。
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▶︎後悔
せっかく星導と会えたのに、殺した。
特に楽しい会話もせず、星導の最期を見た。
「 ッは、ー…、はぁ、”、…はぁ、 」
あぁ時を戻せたらなぁ、
鞄に入った妄想を噛んだ。
段々と記憶が蘇ってくる。
いや違う、これは記憶じゃない、妄想だ。
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▶︎今日の日
あれ、これは見たことない。
今日だ。これは。
「 ほしる、べ! 」
ビンタされる、…
「 なんで来たのさ、… 」
「 ほしるべに、あいに… 」
「 どうせ必要のない事、… 」
変だなぁ、今のが本当みたい
「 星導じゃないと、…だめだから。 」
「 何の話? 」
「 星導に会う必要があったから会いに来たんだよ、… 」
「 …、そ。 」
「 星導、変身解けなくなったの、見させたくなかったんでしょ、? 」
「 ……、 」
「 何も気にしないから、俺はそこに星導がいたら、ッ、幸せッ、だから、っ、! 」
「 いかないで、… 」
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▶︎あの日この日
hsrb Sid
「 星導、返信解けなくなったの、見させたくなかったんでしょ、? 」
なんで分かるの、気持ち悪い。
もういなくなってよ。
「 何も気にしないから、俺はそこに星導がいたら、ッ、幸せッ、だから、っ! 」
「 いかないで、… 」
泣かないでよ、俺まで悲しくなってくる。
あぁ、確かに、小柳君は俺の前ではいっぱい笑ってくれたなぁ。
「 …、ッ、…やめてよ、 」
俺は小柳君におっきくハグをした。
「 あの日も、この日も、いっつも小柳君の笑顔のために沢山頑張ってきたのに、 」
「 神様はッ、おれに、味方ッ、しない…ッ、! 」
「 ずっと俺はッ、ひとり、ッ、かなぁ、? 」
涙が絶えない。
小柳君が冷たくて、悲しくて。
俺がいたから小柳君はあたたかかったのかな、って思った。
「 神様が味方しなくとも、俺はずっと一緒にいるから。 」
これも、妄想なのかなぁ。
ずっと思ってた。小柳君の鞄の中を見てから。
あぁ、俺とそっくりだなぁって。
俺も、ずっとこっちに来てから寂しくて。
ライにずっと妄想を俺の頭に入れてくれた。
まるで化け物の俺に、笑顔で小柳君の妄想を頭に入れてくれた。
あぁ、これは妄想じゃないといいなぁ、ずっと一緒にいたいなぁ、…
これが妄想じゃなかったら、小柳君も幸せなのになぁ。
ずっと一緒に、いたいなぁ。
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▶︎妄想
星導は急に、鞄を開けた。
おかしい、妄想なのに、本物だ。
「 これも、俺の。 」
「 …、ほしるべ、 」
「 俺の妄想だよ。ライが作った作り物の妄想だけど。 」
メモ帳が沢山入ってた。
全部ライの文字で、書いてあった。
小柳は今日も帰ってこない。
小柳は今日帰ってくる。
小柳は星導のことが嫌い。
小柳はずっと星導に会いたがってる。
小柳はずっと星導の隣にいる。
小柳は今西にずっと住んでいる。
小柳は今東に引っ越している。
小柳は今も星導と一緒にいると思っている。
小柳は一緒にいてほしいと思ってる。
小柳はずっと星導といる妄想をしている。
小柳はずっと一緒に星導といる。
段々とネタが絶えてきたのか同じようなものが多かったけど。
星導が俺のことを思っていたことがよく分かった。
俺は星導を抱きしめた。
ずっとずっと、抱きしめた。
星導が冷たくて、悲しかった。
涙が出てきた。声が出せなかった。
俺が温めてあげようと、ずっと、ずっと、ずっと抱きしめてあげた。
星導はあたたかかった。
いつもの星導だった。
あぁ、さっきの死んだ星導はもうそうだったのかなぁ、
俺の頭が狂ってるのかなぁ、
このままずっと一緒にいたいなぁ。
ずっと、ずっと、ずっと…
⬛︎END つめたく狂った狼
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