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ena🐱一週間猫化とぶりっ子
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「あの時に戻れたらよかった」
とある日の夜、私は暗い山道を走っていました。その日は夏なのにとても寒かったのを覚えています。
私はいいところの家に産まれました。でも、私は誰にも愛されていませんでした。私のことを嫌うお母様は、私を自分の子ではないといつも大きな声で話していました。だからきっと、勘違いしたのでしょう。その話が本当だと使用人から使用人へと広まっていき、ついにはお父様にまで伝わっていきました。お父様なら噂が嘘だと言ってくれると思っていました。でも、お父様は何も言いませんでした。
助けては、くれませんでした。
それから、私は本邸から遠く離れた山奥の別邸に引っ越しました。きっと、お母様がお父様にお願いしたのでしょう。別邸での暮らしは本邸とは異なっていました。私は使用人から避けられていました。ご飯も運ばれるだけで、感謝の言葉をかけようとしても無視されるだけでした。外に出ては駄目だと言われ、自分の部屋に引き篭もる生活を何年も続けていました。その生活に疑問を抱かなくなった頃、一通の手紙が届きました。差出人を見ると、お父様からでした。内容は、今まで辛い思いをさせて悪かった。今の生活が嫌なら、そこに書いてある住所へ向かえ。お前の姉が住んでいるから、というものでした。その時初めて自分に姉がいるのを知りました。私はすぐにそこへ向かおうと使用人に声をかけました。でも、外に出ては駄目というだけでした。つい、カッとなってしまいました。私はどうしても姉に会いたかったのです。だから、あれは仕方がなかったと思うようにしています。
「お嬢様何をーーーーーー」
「お嬢様落ち着いてくださーーーーー」
気が付いたら私の手は赤く染まっており、誕生日にお父様からもらった簪を持っておりました。そして床には地獄が広がっていました。それらを見た時、やっと私は我に帰りました。そして、自分の犯した罪の重大さに気づきました。どうしようと考えました。そこで思いつきました。お姉ちゃんなら私を助けてくれるのではないかと。だから私は暗いのも、久しぶりに履いた小さい下駄のことも気にせずただ山を降りるのだけを考えて走っていました。お父様からの手紙を握りしめてただ、ひたすら。
何日経ったでしょうか。里に出ていました。別邸にいる間はすることがなかったのでさまざまな本を読んでいました。なので、書かれた住所の大体の位置は分かりました。それは、ちょうど降りた里にありました。私はかなり赤く染まっていたので、里に住む人に見つからないようこそこそとお姉ちゃんを探していました。
そして、やって見つけました。私よりもずっと高くて長い髪をしていました。それは、お父様の手紙に同封されていた写真の人と瓜二つでした。私はお姉ちゃんだと思い、声をかけました。お姉ちゃんは初め、驚いた顔をしていましたが、真剣に私の話を聞いてくれました。そんなことは初めてでした。ああ、この人は本当に私の姉なのだと思いました。それから私はお姉ちゃんと一緒に暮らすことになりました。それは、とても楽しかったです。天国だと思えるほどに。
地獄は何の前触れもなく再びやってきたのです。あれはお姉ちゃんとの暮らしにすっかり慣れた頃です。仕事から帰ってきたお姉ちゃんにおかえりと言いたかったから玄関で待っていたのです。帰ってきたお姉ちゃんが私を見たかと思うと、黒い筒を私に向けてきたのです。これは何だと問いかけようとした瞬間、それはバンという大きな音を立てました。突如、私のおでこに今まで感じたことのない痛みが伝わりました。そして、思い出しました。今、姉が自分に向けたものは銃というもので、人を殺すために作られたものということを。お姉ちゃんは私を殺したのです。いえ、正確にはあの人は私の姉ではありませんでした。聞いたのです、私を殺した後に呟く彼女の秘密を。
「依頼完了〜。まさか人違いで私の話しかけてきた奴が殺害対象だったとはね〜運がいいわ。しかも、殺害対象の一族のことも細かく教えてくれたし、別邸の奴らも片付けておいてくれるとは、いい子だねぇ。」
許せませんでした。私を殺したことではありません。私に嘘をついたことについてにです。あんなに楽しかった暮らしが全て嘘だと言われたのです。私にとって人生で1番幸せな日々だったのに、、、それが全部否定されて、許せる人なんていないでしょう。
私が死んだ後、あの女のことばかり考えていると後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえました。それは嫌というほど聞いた声でした。ゆっくり後ろを向きました。そこには大嫌いな2人組の姿がありました。私の目から光が消えました。
ENDー8 「後悔に包まれた少女」
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