私の名前は小鳥遊空。高校二年生だ。
私はこの物語の主人公ではないし、ヒロインでもない。ただの一登場人物に過ぎない。
しかし、そんな私が主人公にも劣らない活躍をするかもしれないお話――それが、この本『ラブ&バトル』なのだ!
***
私は今日も学校へ行くために電車に乗っている。
いつもと同じ景色を見ているはずなのに、今日だけは違った。
私の視線は一人の男子高校生に向けられていたのだ。
(あれ……?)
その男子高校生に見覚えがあった。確か同じクラスの人だと思うけど名前は知らない。でも、見間違えじゃないと思う。
私は思わず声をかけようと思った。だけど、勇気が出なかった。
(うぅ~、なんで話しかけられないんだろう。これじゃあまるで私が恋をしているみたいじゃん。そんなわけないよぉー)
私だって年頃の女の子だし、恋くらいしたいと思うけど、やっぱりお父様とお母様に認めて貰えないとね。
だから今は我慢しておきましょう。
それにしてもあの子ったらまた……。
「あーもう! ちょっと待ってよ!」
「いやだわぁ~」
「待ってくれないと困っちゃうのぉ~」
「そんなこと言われても無理ぃ~」
今日も街では少女達の黄色い声が飛び交っている。
彼女達はいつものように楽しそうにしているけれど、僕は正直言って苦手だったりするんだよね……。
「あのね、お兄ちゃん! 今日からあたし達四人で『秘密基地』を作ろうと思うんだけど!」
「あーうん、そっか。頑張れよ」
「ちょっと待ったぁ!! そこは乗ってくれないと困るんですけど!?」
「えぇ……だってお前らだけで作るんじゃないのか?」
「もちろん手伝ってもらうわよ。だからこうしてお願いしてるんでしょ」
「別に僕じゃなくてもいいんじゃないのか? ほら、他にも暇そうな奴はたくさん居るだろ」
「ダメだよぉ~。そんな事言ったら怒られちゃうもん」
「そうだぞ! この家の主であるお兄様に決定権があるのだ!!」
「それを言うなら僕の家でもあるんだよな? まぁいいや。それで何を作ればいいんだ?」
「まだ決まって無いの! みんなで考えようと思って!」
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