支部からの移行、瑞希が大好きなニゴメン3人と好かれるのが怖い瑞希ちゃんの話
瑞希愛され
「ハリネズミのジレンマ」
「瑞希、起きてる?」
白く光を発する画面から聞きなれた声が聞こえる。まだ重い瞼を擦り、目を開く。背をのばし、欠伸を1つ。そのはずみに倒れ込みそうになったのはどうにか隠した。
「うーん、うん…今起きたよ、ありがと」
「そう、大丈夫だよ。じゃあ、もう少し進めたら解散にしようか、」
彼女の柔らかくて繊細な声が耳に響く。きっとこの言葉はボクのことを思ってのものだろう。本当に彼女は優しくて、気遣えるな。ありがとう、と感謝の言葉をひとつ零し、パソコンに向かう。数十分、沈黙と作業音が響いていた。しかし、それは突然遮られた。
「終わったー!!!はー!疲れた……。イラスト、ナイトコードに上げとくから奏、瑞希、確認してちょうだい、」
「…うるさい、絵名。真夜中なんだよ、気を使って。」
「な……はいはい、すみませんね〜…。」
マイクからは無愛想に答え、ぶつぶつと呟いた声が聞こえた。思わず笑いを零せば、なんで笑ってんのよ、なんて自撮りのアイコンは目ざとく指摘してきた。それすらも面白くて、笑いが止まらなかった。水膜を張る瞳をこすり、息をひとつ。
「はーっ、おかし、」
「は?なにがよ、怖……。あ、ところで、瑞希。今日学校行った?」
何か気になり、質問してきたのだろう。それに適当に返事を返す
「あー、行ってないよ。今日ちょっと、頭がぐるぐるしてて。」
きっと他の人には伝わらない表現をしたが、多分彼女らには伝わるだろう。そう信じたかった。
「そ、っか。……ごめん、」
「え、」
思わず音をひとつ放つ。それは驚き、失望どちらなのだろうか。それすら、もうボク自身分からなかった。分かってくれると思ったのに
「絵名、やめて。早く作業に戻ろう。…瑞希、気にしないで。私達は否定しないから」
「……はやく、やろう。」
「あ、はは。だいじょうぶ、うん、はは」
乾いた笑いを零し、震える口元を利き手で隠す。だめなんだ、伝わったら。
「……じゃあ、終わろっか。おつかれみんな」
くたくたな体にムチを打ち、軽くストレッチをする。ぐ、と首を伸ばせば骨のなる音がした。マウスに手を伸ばし、作業用のパソコンの電源を落とした。クリックをする直前に、耳に思いもよらない言葉が入り、手は止まった。
「…瑞希、もっと頼って大丈夫だから。かわいそうな」
「っ……」
その先はききたくない。慌てて、ぶつ、とナイトコードを落とした。
気遣いなのは分かっている。愛があるのがありがたいのも分かってる。だけど、最近
あなたたちのあいがいたい。つらい。くるしいんだよ
……べつに、そんなつもりでいったわけじゃあないのに。
(筆s)
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