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ここは地下三階。

赤煉瓦に水滴が所々に浮き出た湿った空間だった。

モートは女性を狩らないので、どうしようかと思考が止まっていた。そして、麻薬に侵された人々は黒い魂だったが、狩るのをためらっていた。

そこで、モートは今度のグリモワールの詳細を聞きに電話を探しに行った。

様々な楽器のある倉庫を見つけると、片隅に少し古風な電話があった。

辺りは今のところ静寂だった。

オーゼムはすぐにでた。

モートは急いで蠍のことと、ここダンスホールでの出来事を話した。

「やあ、モート君。すまないね。何も言わなかったのは、実はまだ考えがまとまっていなかったんだ。その蠍は、色欲のアスモデウスのグリモワールだ。なので、どうか蠍の毒に気をつけてくれないか。私は今、ヘレンさんをノブレス・オブリージュ美術館に残してバスで移動しているんだ。すぐにそっちへ向かうから」

「わかった」

モートは電話を切ると、激しい雑踏や叫び声が二階からの階段付近から聞こえ熱狂する人々がそのままの怒号を上げて襲い掛かって来た。

だが、モートは次々と怒号の中。身体を通り過ぎていく人々の中を歩いていった。

モートの狙いは蠍のみだった。色欲のグリモワールを持つもはや狂人と化した女性もモートを通り抜けて行く。

天井からは床一面に埃が滝のように落ちている。

視界は、通路は、全て真っ白になっていた。

まるでモートを走り抜ける暴徒の激しい足音が、天井の埃を嵐のように落としているかのようだった。だが、モートを通り抜けて暴徒はそのまま遥か後方へと呆然と過ぎ去っていく。

巨大な蠍がワラワラと二階から階段を降りて来た。

暴徒と化した人々がモートを通り抜ける中。

モートは銀の大鎌を構えた。


巨大な蠍は無尽蔵に現れてくるが。

ふと、急にその数が止まった。

この建物の二階からオーゼムの大きな声が木霊する。

「モート君! さあ、グリモワールは封印した! あなたの狩りの時間です!」

どうやら、二階のダンスホールにあると思われる。色欲のグリモワールをオーゼムが封印したので、蠍がこれ以上は出現しなくなったのだろうと、モートは考えた。

モートは蠍のみに、銀の大鎌を振った。


一体目を横に振り、二体目の顔面を縦に叩き割って、正確に身体の一部を取り除いていく。それでも、巨大な蠍は次々とモートに毒を吐きつけながら、突進してきた。

モートは辺りの暴徒の拳を振り上げた突進も気にせずに、確実に蠍のみを狩り続けた。

モートの身体を通り抜ける暴徒が急に静まり返った。

どうやら、正気を取り戻したのだろう。

正気を取り戻した暴徒がバタバタとその場で倒れていく中。


「また、残念ね! まだ一匹いるわ!」

あの狂った女性が肩に乗せた大き目の蠍を持っていた。踵を返し逃げ出そうとすると、モートが銀の大鎌を構えたが……。

「はい! 終わりです! あなたと私の負けです!」

いつの間にか女性の傍にいたオーゼムが蠍を取り上げていた。蠍を光の奥へと仕舞うと。

「賭けは今日はアリスさんの勝ちですね」

オーゼムはかなり残念な顔をした。

夜を狩るもの 終末のディストピア

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