テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
宇津Q
2,015
#いじめ
るあ🩵🦊🌙
31
284
コメント
1件
第50話、読み終えたよ! 良太とカンナの掛け合いが軽快で、口悪いけどお互いを認め合ってる感じが伝わってきて微笑ましかったな。特に「高嶺の花」とか「定時制と底辺は同じじゃねえぞ」みたいな毒づき合いのテンポが良くて、思わず笑ったわ。晶子がカンナの彼氏のことを秘密にしたくなる気持ち、すごく分かる。青春って感じがしてほっこりしたエピソードだった!
良太が晶子に向かって言う。
「毎回この調子なんだぜ、こいつ。晶子ちゃんみたいな、おしとやかなカノジョの方が良かったかな」
カンナは座席の後ろにあった小さなクッションを運転席に向かって投げつけた。
「底辺高校卒の良太には高嶺の花なんだよ、晶子は」
良太は前を見たまま、器用にクッションを左手で後ろ向きのままキャッチして、カンナに投げ返した。
「うるせえな。おまえだって定時制じゃねえか」
「あ、差別、差別。定時制と底辺は同じじゃねえぞ」
二人とも口にしている言葉は荒っぽかったが、もう慣れているらしく、お互いに笑いを含んだ口調で毒づき合っていた。
晶子はカンナの言葉が途切れたタイミングを狙って良太に質問した。
「良太さんは、もう高校卒業してるんですか? じゃあ、今は大学生とか?」
良太は一瞬声を上げて笑い、答える。
「大学なんてガラじゃねえよ、俺は。今はそう、将来に向けて修行中ってとこ」
カンナが横から混ぜっ返す。
「要するにフリーターだよ。卒業した後に就職した会社、3か月でやめたんだってさ」
晶子が指を折って数える。
「じゃあ、今19歳ですか、良太さん」
良太が運転席から答える。
「今年の10月で二十歳。俺の高校、確かに底辺だからさ。学校が世話する就職先なんて、ちっぽけなブラック企業ばっかりなんだよ。だからさっさと辞めちまった。なあに、これから天職見つけてビッグになってやらあ」
車が晶子のマンションの前に着き、晶子は何度も良太に礼を言って、エントランスに駆け込んだ。リアウインドウ越しに手を降るカンナを乗せて、車は踏切の向こう側の団地に向かって走り去って行く。
家に入り、濡れた制服を浴室の中に吊り、乾燥機能のボタンを押したところへ、晶子の母親が帰って来た。
「ああ、よかった、晶子。帰ってたのね。電車はまだ止まってなかったの?」
「ううん、止まってた。カンナと一緒に車で送ってもらったんだ」
「車って誰の?」
「カンナの知り合いの人がカンナを車で迎えに来てて、あたしもついでに送ってくれたの」
「あら、それはよかったわね。あたしはタクシー拾ったけど、乗れるまで30分近く待ったわ。お父さんも会社早上がりだと思うけど、帰って来れるかしら?」
母親がスマホで父親に連絡を取ろうとしている間に、晶子は自分の部屋に引き上げた。その知り合いがカンナのカレシだったという事は、なぜか秘密にしておこうと思いながら。