テラーノベル
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気がつくとベッドの中で目が覚めた
しばらく微睡んでから身体を起こし隣を見るが、そこには叶さんがいない
シャワーでも浴びているんだろう
薄暗い部屋の中、ソファーにかけられたガウンを手に取り羽織る
そこで気づいた
まだ扉が開けっぱなしだ
俺はゆっくりと扉に近づき、そこから顔を出す
誰もいない廊下
目の前の葛葉さんの部屋の扉
「‥‥え?」
何故か葛葉さんの部屋の扉も少しだけ開いている
帰って来たのか?
久々の廊下を歩く
数十センチ開いている扉の間
「‥‥っ‥‥あ‥‥葛葉っ‥‥」
「‥‥!」
叶さんの声
視線を向けると赤いランプの灯りに浮かび上がる叶さんの姿
いつも葛葉さんが座る場所
葛葉さんの服を握りしめながら自分を慰めている‥‥
早くここから去らなくては
なのに足が動かない
服から顔を離し、ゆっくりと瞼が開く
その瞳と見つめ合う
「‥‥ぁ‥‥‥‥こや‥‥」
「‥‥叶さん」
叶さんが
こんな‥‥いつも‥‥
いつもこうやって自分の想いを埋めてたの?
俺はゆっくりと叶さんの元へ行き、そっと抱きしめた
叶さんが俺の体に顔を埋める
「何してるんですか叶さん‥‥」
「‥‥っ」
「泣かないで‥‥そんなに追い詰めないでください」
「追い詰めてなんか無い」
「じゃあなんでそんな悲しそうな顔してるんですか」
「僕は‥‥葛葉が嫌いだっ‥‥」
「嫌いな人の部屋で‥‥名前呼びながらする事じゃないです」
「だって葛葉の家は俺の大切な家族を奪った!だから許さない‥‥絶対」
「絶対許さないのに、いつもそばにいてこんな事してるんですか?」
「‥‥違う‥‥僕は酔ってるんだ‥‥僕は嫌いだ‥‥」
「家族の事があって尚‥‥好きなんですね」
「違う!僕は葛葉が‥‥‥‥‥‥好き」
「だったら早く言えよ、バカ」
その声に振り向くとそこには葛葉さんが立っていた
「ってか、お前ら俺の部屋でなんて格好で話してんだよ」
「‥‥僕が葛葉の服の匂い嗅ぎながら1人でしてたところをこやに見たかっただけだけど」
「おまっ!‥‥恥ずかしくないのかよ」
「全部見られたし聞かれたんだから隠しても仕方ないだろ」
「あの‥‥俺‥‥帰りますね、部屋に」
叶さんの元を離れて2人を見る
叶さんは照れたように服を直しながら口を開く
「明日みんなで話し合おうか‥‥これからの事」
「はい、分かりました。俺自分の部屋に戻りますね」
「ん、おやすみ」
「おやすみなさい」
俺が帰った後の葛葉さんの部屋の中
葛葉さんが叶さんの前に立ち見下ろしている
「もう一度言えよ」
「何を?」
「俺の事‥‥なんだって言ってたのか」
「なんだよ。僕が葛葉の事ずっと好きだったって事? 」
「‥‥っ」
「だったら葛葉も言ってよ。僕の事どう思ってるのか」
「やだよ。なんで俺が‥‥」
「だったらこれで終わりにしよう」
「なんでだよ!おかしいだろっ⁈」
「だから言ってよ。俺も昔から叶の事?」
「‥‥‥‥好きだよ」
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コメント
4件
フォロー失礼します! 最高でした! 続き楽しみです!
ンナァ"~ ナイス こや !両片思いだったんだ~ 両思いになって良かった~ なんかホッとしてるような...こや の性格推せる!最高です!