目が覚めた
どうやら昨日座った状態で寝てしまったらしい
あれ、? 目を開けても視界が暗い
戸惑っていると少し時間が経ち目隠しをしていた布の結び目が緩み視界が開けた
静かで空気が冷たい薄暗い部屋
今が何時かも分からない
その中で鎖の音がじゃらじゃらと無造作に鳴り響く
身動きを取ろうとしても右腕に付いている鎖が邪魔して動けない
抗おうとする気にもなれなくて座ってぼーっとしていた
その時、部屋の隅でスマホをいじっている男がこっちを見て俺が起きたことに気がついた
「あ、じんと起きた?」
そう言ってこっちへ向かって歩いてきて俺の顔を覗く
その顔はとても綺麗だが感情が何故か読み取れない
鎖で繋 がれている理由がわからなくて彼に聞く
「これなに?」
「ん?これ、鎖だよ」
「そんなの知ってる、これじゃどこにも行けないよ」
鎖が付いている方の腕を勇斗に差し出す
「それでいいんだよ、」
手の甲に勇斗が軽くキスをする
「なに、怖いの?」
怖い、今の状況も、彼の表情も
「なんでこんなことするの?」
「だって、こうしないとじんとすぐどっか行っちゃうじゃん」
「まあ、しばらくはこのままでいてね」
「え、」
「大丈夫、ご飯だってちゃんと食べさせてあげるし、仕事の心配もしなくていい」
優しく話しかけてくれるがその笑みが、怖い
「運動もしなきゃダメか、
でもこの部屋を歩くだけじゃ足りないよな….」
部屋を見渡したあと、閃いたという顔でこっちを見る
「あ、あるじゃん
沢山汗かいて疲れる、気持ちいコト」
こいつは何を言っているのか、、
想像しただけで顔も耳も赤くなる
「え、顔赤い
何想像してるの?笑」
「うるっさい」
勇斗から顔を逸らして横を向く
だがすぐに頬に手を添えられて顔を正面に戻される
目を逸らそうとするけど勇斗の手の力には抗えない
上目遣いの状態で綺麗な顔と目が合う
「大好きだよ」
そして軽く唇にキスをされた
「ずーっと一緒だよ」
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