この世界には4人の天使がいる。
「兄貴ぃーおはよう!今日のご飯なぁにー?」
春のように明るくてあたたかい、穏やかな桃色の空気を身にまとっている天使
「ないくんってほんとに食べるの好きだよね。おはよ、兄貴」
夏とは正反対な冷静な性格をしているが、纏う空気は赤色の天使。
「おはよ、悠くん。今日は俺が当番やから、ゆっくりしといて欲しかったんやけど、、、」
秋の夕暮れのような寂しい気配がありながらも幸せそうに笑う、白い空気を纏った天使。
「おはよ。朝早く起きちゃったからな。つくってもうたもんはもうしょうがないんやから、今日はお前がゆっくりしいや。昨日遅くまで大変やったんやろ?」
冬の太陽のようにあたたかい雰囲気のある、黄色の空気を身にまとった天使。
「昨日は人間界にな!おもろいゲームがあるのを見つけて!!」
「心配して損したわ」
俺は、はぁとため息をつくと美味しそうなオムレツたちを机に並べ始めた。
「ほら、ご飯食べるんやったらしたく手伝え。」
他の3人ははーいと言い、手伝い始めた。どんなに眠くても朝ごはんのワクワクは止められないらしい。そんな3人を可愛いなと思い、にこにこしてしまう俺もきっとこの時間がすごく好きなんだろうな。
「ま、悪いことでは無いし別にいいか。実際可愛いしな。」
「?兄貴なんか言った?」
俺はキョトンとしてる桃色の彼の頭を撫でながら微笑んだ。ほんと、こういうところがかわええんやから。
「なんでもないで。ほら、しっかり食べーや。今日からないこがお勤め当番なんやから、ないこの好きな物沢山作ったんやで」
そういうと、彼はパァっと顔を輝かせていつもは出さない天使の羽をぴょっと出した。
「やったああああああー!兄貴大好き!!」
「ないくんってば。また、羽でてるよ」
ないこに対して優しい最年少にも慣れたものだ。いつもは冷静で表情にあまり感情も出さない彼だが、ないこといる時は大分やわらかい。まぁ、彼自身はそれが恥ずかしいようで、ツンケンしてしまうらしいのだが。いつも見ているこちらとしては、バレバレだ。
そんなかわいい弟分のような彼らを愛おしく思いながら今日の予定を頭の中で組みたてた。
天使にはたくさんの仕事がある。女神様の手伝いも大切なものだが、だいたいの女神様は変人な割に仕事は、人間界で言う100年分を3分で終わらせてしまうのだから、天使にできることといえば肩を揉むことぐらいだ。まぁ、そんなことは置いておいて、特に大事な仕事。それは……
人間界には大きくわけてふたつの種類の人間いる。人にやさしく出来るやつと、出来ないやつ。別に出来ないやつが悪い事じゃないが、世界は優しさで溢れた方が、俺たちにとっても都合がいい。それに、たった一度しか無い人生なのだからできる限り優しさで溢れたあたたかく幸せな世界で生きて欲しい。そんな願いから生まれるのが俺たち涙なのだ。俺たちが泣くと、その涙によって人間界に波紋ができて、優しさがそっと伝わっていく。
これが俺たちの仕事で、ずっと何百年もやってきたことだ。俺はずっとこの生活が続くと思っていた。今までと同じように。ずっと。
その日の人間界で言う夜。ないこが人間界に消えていった。そしてないこを助けるために、りうらも消えていった。
これが今では変わってしまった俺たちの生活の最後であり、そして…始まりだった。
コメント
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続きが気になりすぎる! 楽しみにしてます!