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「私、シュートする龍聖君を見て、いっつもドキドキしてたよ~」
絵麻ちゃんが言った龍聖君のポジション、スモールフォワードは、バスケの中ではロングシュートをしたり、スリーポイントシュートを打ったり、アウトサイドからの攻撃を仕掛け、点数を取る役割がある。
そんな役割を忠実にこなしていた龍聖君。ゴールをバンバン決めていた姿はこれ以上ないくらいカッコ良くて、チームではエース的な存在だった。
龍聖君も碧も、エースとリーダーとしてお互い信頼し合って試合に望んでいた。
「絵麻の言う通り。龍聖のシュート、俺も毎回しびれたなぁ。龍聖と俺はもうバスケの試合に出ることはないかも知れないけど、でも、あの頃の思い出はずっと心の中にあるし、絶対に忘れることはないないよ。1番、俺達が青春してた時間だし、死ぬまで大切にしたい」
うなづく龍聖君。
碧の言葉、すごくわかる。
みんなと過ごした光景は、まぶたの裏にしっかりと焼き付けられている。
その映像は、私だって絶対に消したくない。
「ねえ、鳳条君。今度バスケの試合観戦、連れてってほしいな~。ね、お願い」
「えっ」
私達はみんな同じリアクションだった。
思い出に浸る時間を、絵麻ちゃんの「お願い」で突然遮られたからだ。
もう少し懐かしい話をしていたかったのに……
「今は仕事が忙しいから無理だな」
「鳳条君、いっつも忙しいって言ってるんだけど」
「バスケの試合なら碧が連れてってくれるから、なあ、碧」
「えっ、あ、ああ」
いきなり碧に振る龍聖君。
「頼んだ」
「絵麻、仕方ないよ。龍聖は仕事忙しいんだからさぁ。俺が連れてってやるから我慢しろよな。NBAは無理だけど、日本のチームもカッコいいし」
「え~鳳条君が良かったのに~。どうしてダメなの? ちょっと意地悪じゃない? 鳳条君って彼女いるの?」
その質問に思わずドキッとした。
いくら酔っているからといって、そんなあっさりと聞いてしまうなんて。
私はまだ、全然心の準備ができていないのに。
「彼女……今はそういうことに興味を持ってる暇は無いな。俺、仕事人間でつまらない男だから」