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グリルタ
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晶子の学校では、夏休みが終わって2学期に入ると、主要5教科の内容は高校1年生用の物に徐々に切り替わり始めた。
高等部への進級に特に試験はないが、中高6年間のうち5年間で高校3年までの内容の履修を終え、高3では大学受験準備期間に入る。
普通の中学高校よりカリキュラムの進み方が早いため、授業について行けなくなる生徒が出始める時期でもあった。
何事にもおっとりした性格の晶子はついて行けないという程ではなかったが、段々学校が苦痛になり始めた。
真ん中からちょっと下だった学年の成績順位もじわじわと下がり始めた。両親は心配して晶子の塾通いを週2回から4回に増やした。
だが、それでも晶子の成績順位は目に見えて上がる事はなく、勉強漬けの時間が増えた事で、晶子は逆にどんどん精神的な余裕を失くしていった。
時折街でカンナと会った時も、晶子はカンナにその事を相談出来ずにいた。カンナがどれだけ自分でがんばっている事を知っているだけに、カンナに笑われそうな気がしていた。
そんな晶子の鬱屈は、年末の学校の実力テストで思うような点が取れなった事でとうとう爆発してしまった。晶子が突然、内部進学をやめて都立高校を受験したいと言い出したからだった。
当然両親は反対する。あまりにハイペースな今の学校の授業について行く事に精神的に疲れ切ってしまった晶子は、両親とその事で口論した挙句、真冬の夜に家を飛び出した。
だからと言って行くあてもなかった。晶子はダウンジャケットを着こんだだけの手ぶらで、街の中をさまよい歩き、住宅地のはずれの大きな公園のベンチに座り込んだ。
街灯はあったが、雪が降り出しそうな寒い夜で、辺りに人気はなく、晶子はうつむいたまあベンチに座り続け、時折息を手に吹きかけて温めていた。
突然晶子の背後から、数人の足音が響いて来た。高校生らしい、あまりこの辺では見かけない男の子たちが5人、騒がしい声を立てながら公園を横切ろうとする。
その中の一人がベンチにポツンと座っている晶子の姿に気づいた。ニヤニヤ笑いながら5人が晶子を取り囲むようにベンチの周りに立つ。いかにも不良っぽい口調で晶子に言う。
「お、君何してんの? 夜遊び? 俺たちと遊ばねえ?」
「ひゃあ、可愛い子じゃん。今夜ついてんじゃん、俺たち」
「よう、一緒に来いよ。大人の楽しみ教えてやんぜ」
怯えた晶子があわてて立ち上がり立ち去ろうとすると、ロングヘアを後ろからわしづかみにされた。
「逃げんなよ! みんなで可愛がってやるって言ってんだぜ」
髪をつかまれて晶子はベンチに引き戻される。恐怖に震える晶子は悲鳴を上げる事さえ忘れていた。両手で顔を覆い、膝と頭をくっつけ体を丸くする。スカートの裾を両腕でしっかりと押さえる。
キーー!という甲高い音がした。ガチャンと何かが横倒しになる音が続く。晶子が指の隙間からその方向を見ると、小さな人影がこちらへ走って来るのが見えた。
「晶子! 晶子か?」
その人影が叫ぶ。それはカンナだった。ジーンズにスタジアムジャンパーを着こんだカンナが晶子たちの側へ駆け寄る。カンナは毅然として男の子たちに言う。
「その子を迎えに来たんだ。そこどけよ」
5人の男の子たちの中で一番背が高い少年がニヤニヤ笑いを浮かべたまま、からかうような口調で返す。
「このカワイ子ちゃんはこれから俺たちとお楽しみなんだよ。それとも、おめえも一緒に可愛がって欲しいのか?」
カンナの横にいた男の子が思いっきりカンナの体を後ろに突き飛ばす。カンナは地面に背中から叩きつけられ、うめきながら起き上がって自転車の方へ走って行った。
一番背の高い少年が晶子の腕をつかみながら言った。
「へへへ、お友達は逃げちまったぜ。さあ、来いよ」
5人の少年が自分に詰め寄って来るのを感じながら、晶子は心の中で「誰か、助けて」と叫んでいた。
コメント
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第21話、読み終えました……晶子の内側に溜まっていく息苦しさが、すごく伝わってきた。勉強についていけなくなる焦りと、カンナに弱音を吐けない孤独。その末の家出と、あの公園の闇。不良たちに囲まれたときの「誰か助けて」が、心臓に直接響くようだった。そこに現れたカンナの毅然とした姿、かっこよかった……でも、突き飛ばされて自転車の方へ走っていくラストが気になりすぎる。続き、どうなるんだろう。読ませてください🌙