この作品はいかがでしたか?
14
この作品はいかがでしたか?
14
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「可愛い〜ッ」
猫百合イッサが歓喜の声を上げ、両手を合わせて満足げに微笑む。その視線の先には、黒と白を基調としたクラシックなメイド服を着せられた 11 の姿があった。
「猫百合イッサ様、これは一体……?」
11 は無機質な声で困惑の言葉を発するが、特に抵抗することもなく大人しく立っている。その動きは相変わらず機械的で、メイド服の可愛らしさと不思議なギャップを生んでいた。
「だってせっかく可愛いんだから、似合う服を着せたくなるじゃん!」
イッサは胸を張って言い切る。近くでその様子を見ていたまんじゅうは呆れたように肩をすくめる。
「……俺たち、何してんだ?本校舎奪還の準備中だよな?」
「いいじゃないか、ちょっとくらい癒しが必要だろ?なあ、いぬいぬこ。」
いぬいぬこは腕を組んで頷きながら、11 の姿をじっと見ていた。
「……まあ確かに似合ってるけどさ。」
11 は小首をかしげると、視線をイッサに向けた。
「この服装に特別な意味や効果があるのですか?」
「もちろん!」とイッサは自信満々に答える。
「見た目が可愛いとみんなの士気が上がるし、気持ちも明るくなるよ!」
「……士気向上のため、了解しました。」
無表情のまま淡々と頷く 11 の姿に、まんじゅうは思わず吹き出した。
「お前、真面目すぎだろ!」
そんなやり取りを眺めながら、いぬいぬこと鼬は複雑な表情をしていた。思い出せない記憶の中に、こんな平和な時間があったのだろうか――ふと、そう感じたのだ。
「……でも、これで5人、戦力は十分だろうな」
いぬいぬこが呟くと、イッサが満足げに頷いた。
「全員、準備はできているな。」
全員が本校舎裏口前に集合している。それぞれ剣や斧、槍など、武器を手にしている。
これらの武器はすべて、猫百合イッサの錬金術で生み出されたものだ。
錬金術など非現実的だと思ったものの、文明が崩壊し異形の怪物が蔓延っているような世界に現実も虚構も関係ないだろう。
「さぁ、行こう。」
イッサの声で全員行動を開始する。作戦は本校舎に侵入しいぬいぬこと 11 、まんじゅうと鼬、イッサの二手に分かれてそれぞれ4階建ての校舎を各階制圧していく。
いぬいぬこ達二人は校舎外側の非常階段から4階へ侵入し上から、まんじゅう達三人は裏口から侵入し下から制圧していく。
ギィ − と軋む扉をこじ開け4階に侵入したいぬいぬこと 11 は周囲に異形がいないことを確認し進み始めた。
「なぁ 11 、お前は戦えるのか?」
「可能です。戦闘用プログラムは正常に機能しています。」
無機質な返答だが頼りになりそうだ。
一方、まんじゅう達三人は裏口から侵入し一階の探索を始めていた。
「今のところ異形の気配は無いけど…本当にいるの?」
まんじゅうが拍子抜けしたような声を上げる。
「油断はするな、いつどこから出てくるかわからないんだから。」
「前に外から確認したときは少なくとも3体は確認してる。実際はそれより多いと考えて動いたほうが良いと思う。」
それぞれ警戒を怠らずに静まり返った本校舎を進んでいく。
「さてと、鬼が出るか蛇が出るか…」
同じようにいぬいぬこと 11 も上階から進み始めた。
次回: Pincer Attack