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「陛下、ご用件は」
珠奈の冷たい声が瑞月を苛立たせる。
「まだ恨んでいるのかもとはと言えばお前が悪いんだからな」
珠奈が瑞月の言葉を無視する。
「そうだ。これは孔林と私からの贈り物だ。今すぐに開けろ、孔林がお前が贈り物を貰ってどんな表情をするのか知りたいそうだ。」
瑞月の嘲笑うような顔が珠奈を苛立たせた。
珠奈が贈り物を開けると中には可憐な簪が入っていた。
珠奈はその簪を睨み、窓から投げ捨てた。
瑞月が怒鳴り出した。
「何するんだ、珠奈。私と心優しい孔林がプレゼントした贈り物だぞ。」
「私にとっては必要ない物です。こんな物は要りません。」
瑞月が珠奈に手を上げる。
「お止めください、陛下。」
秀賢が珠奈を庇う。
すると、突然愛犬=番犬の茶々が瑞月に噛みつこうとした。
「茶々、メッ」
蓮が茶々を抱き抱えながら叱る。
蓮が頭を瑞月の目の前で下げる。
「申し訳ありません、陛下。茶々は知らない人によく吠えるんです。」
「いや、犬が警戒することは悪いことではない、寧ろ良いことだ。」
瑞月が珠奈を問い質す。
「おい、この子供は?」
「その子は私の甥っ子です。」
無理があった。珠奈には兄がいるが未婚で子供もいない。そのうえ、瑞月に使えている。
「兄の香蓮《こうれん》の子供ではなく、お父様の弟で叔父の息子です。」
「可笑しいぞ、この子供はいつ生まれた?」
「私が後宮を追放されて半年くらいが経つ頃に私の家で引き取ることになったのです。」
瑞月が腕を組む。
「なぜ引き取った?」
「実は叔父が病に伏せてその間私達が引き取ることになったのです。」
「ほう、でその叔父は」
「今も病に伏せたきりです。」
瑞月が蓮の顔をじっと見つめる。
「この少年の顔は少し私と似てないか?」
「何を申すのですか?偶然ですよ。」
「本当か?幼少期の頃の私と面影があるが?」
瑞月の言葉が釘に刺さる。
「陛下、皇族の証をご存じですよね。」
皇族の証
後宮の妃が帝の子供を出産した時に男女関係なく、生まれ持ってくる眼だ。
皇族のほとんどがこの赤眼で生まれてくる。
「もちろんだ。私も赤眼を持っているからな、だがそれがどうした?」
「陛下は先程、蓮を「自分と似ている」と申しておりました。」
「それがどうした?」
「帝の子供であれば、赤眼で生まれるはずです。」
瑞月の瞳は色鮮やかな赤眼で蓮は珠奈譲りの紫水晶の瞳を持っている。
「確かにほとんどがこの赤眼で生まれくるはずだな。どうやら私の勘違いだったようだな。今日はもう帰る。おい、帰るぞ」
はっと護衛が瑞月を守りながら去った。