テラーノベル
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☆第三話☆
ずっと頭の片隅に先輩のことが思い浮かぶ。
何かをしていても、うっすら意識してしまう。
この気持ちはなんだろう。
そう思いながらわたしは家を出た。
もう春のような暖かさは消えて、だんだんと夏が顔を出しつつある。
若干の蒸し暑さを含んだ6月の空気をわたしは胸いっぱい吸い込んだ。
植物もどんどん緑を増し、日差しがわたしを強く照りつける。
わたしは小走りで学校へ向かった。
あれから先輩のバイオリンを定期的に聴いている。
聴くたびに感動して、先輩から目が離せなかった。
あの曲なんだっけ、前聴いた曲。
先輩がちょっと微笑みながら演奏してた曲だったな。
…あれ、頭ん中先輩のことだけかも。
はたしてあの日聴いたはずのバイオリンの音色はどこに行ってしまったのだろう。
途中で先輩と会えることを期待したが、先輩とは会えずに学校に着いた。
その日はあまり授業に集中できなかった。なんとなくぼーっとしていた。
数学の授業中、
「せんぱい…」
と思わず声を出してしまった。
わたしはそのまま頭がほわほわしてきて、シャーペンを握っている手を離してしまった。
シャーペンが机を転がり床に叩きつけられ、乾いた音が響く。
わたしは数人の視線を浴びた。
「すみません…」
わたしは我に帰って急いでシャーペンを拾う。
「はあぁ…」
なんなんだろう、この気持ち。
今日はなんか無理だ、これ。
わたしは半ば諦めた気持ちでぼーっとしていた。
ようやく昼休みになった。
教室の中は賑わっていて、笑い声が時々耳に届く。
わたしはするこもなく、隣のギャル二人から聞こえる会話に耳を向ける。
「昨日さ、しゅんちゃんにしてもらったんよ」
「なにを?」
「あの…顔に、顔にさ」
「あーそれのこと?なんか言ってたねー」
「りこそういうの経験ないの?」
「いや私の彼氏せっかちだからさ、すぐ中よ、前なんかこれっぽっちもやらん」
「えーっもったいなー」
「私は別にそれでも構わんけどさ、顔とか私無理なんよ。みゆはよくそういうのできるよね、嫌じゃないの?」
「いや全く、しゅんちゃんの濃いのごちそうさまって感じ?」
「うわー、みゆはやっぱそういうの好きなんだねー」
「りこも人のこと言えないっしょ」
「でも事後…事後さ、しゅんちゃんが言ってたんよ」
「なんて?」
「なんか『した方もなんか嫌だ」って」
「えなんで?そっちがしたんじゃん?どゆこと?」
「それなんだけど…『罪悪感っていうか、汚すことが気持ち悪い』だって」
「なにそれウケる。賢者タイムで罪悪感芽生えちゃってんじゃん」
どうやら二人が彼氏の話題で盛り上がっているようだ。
なかなか際どい話だ。
そういや、誰かを好きになったことあまりなかったなあ。
わたしは割とモテる方なんじゃないかと思う。
中学生のころには9回くらい告白された。
でもそれも全部断った。
恋愛的には好きになれなかったから。
世間の女の子たちは、やれ顔がいいだの声がいいだの、体型がかっこいいだの、それだけで男を決めているらしい。
性格も大事なんだろうとは思う。
けれどわたしの人生の中で出会ってきた人はみんな、恋人になってもいいかなと思える性格はしていなかった。
この人とは友達として付き合いたいな、と思うこともよくあった。
だから告白を断る時の常套句はいつも、「ごめんなさい、付き合えません。でも、友達としてなら付き合いたいです。」
だった。
それで本当にその関係に落ち着いた人もいれば、それ以降何も話さなくなった人もいた。
あーもう、なんでだろう、「好き」とか「恋愛」とかのことを考えるとなぜか頭の中に先輩が…
またぼーっとするのは勘弁なので、シャキッとしようと思い、私は水筒の中のよく冷えた麦茶を流し込んだ。
☆プチあとがき☆
第三話は文字多めです!ちなみにギャル二人の会話は私が職場体験に行った時休憩中に事業所の方々が話していたことを元にしています!ほぼそのまま!加筆少なめ!
聞いてて気まずかった😥
コメント
1件
わあ、第3話の前半ですね!主人公の「せんぱい…」とつい声に出しちゃうところ、すごく可愛くてニヤニヤしちゃいました❣️ 授業に集中できなくてシャーペン落としちゃうの、恋ってそういうもんだよなあ…って共感です。ギャル二人のリアルな会話も面白かったですし、ああいう下世話な話題と主人公の純粋な片思いが対照的で、より一層主人公の初々しさが際立ってましたね。麦茶でシャキッとする日常の描写も好きです。続き、先輩との距離がどう動くのか気になります!