テラーノベル
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中学を卒業して約1ヶ月が経った。私とレヴィは毎日のように任務にあたっていた。
「レヴィ、その先人感センサーがある。西に回って」
『了解』
レヴィが実行役、私が指示役として、通信しながら経路を伝えている。本来はこの形が普通らしいけど、お母さんたちは実行役しかいなかったからパワープレイで任務をこなしていた。
まだ殺し屋を経験していなかった時は呆れていたけど、実際に経験したらすごいことなんだと実感した。一歩進むごとに変化していく環境を野生の勘のみで回避し、目標までたどり着く。それは並の人間には到底できないことだった。
「そこで待機。2分後にターゲットが1人でその部屋に入る」
『わかった。拘束して気絶させたあとすぐに運ぶ』
「うん」
私とレヴィは順調に進んでいる。
ー空舞sideー
高校受験が終わり、僕は無事南高に合格。奏舞は予定通り推薦を受け、陸上の強豪校へ入学した。
光平とティナは明日カナダに発つ予定だ。カナダの、営業を専門に学べる学校へ入学する。
愛楽は、分からない。中学を卒業してすぐに連絡がつかなくなった。スマホを変えたのか電話をかけると違う人に繋がった。家に行ってみたけど既に売られた後だった。澄舞に海斗くんは学校にいるかと聞いたところ、普通にいると言われた。引越ししただけなのだろうか。レヴィさんとも連絡がつかないし、愛楽の両親とも連絡がつかない。
「何があったんだよ…」
「あーちゃんのこと?」
「うん。あれから愛楽とレヴィさんに連絡がつかないだろ?」
「っていうか、御神家…だよねぇ」
「あぁ」
もうすぐ春休みが終わる。本格的に会えなくなる前に愛楽と会いたい。
でも、本人がどう思っているのだろう。
「…よし、久々に全員集合しよ!」
「え、奏舞何言って…」
「ちょっと待ってね……あ、ティナ?光平もいる?ちょっと集合したいんだけど、時間あるかな。うん、いつもの公園でいいよ。うん。ありがと!」
「もしかして…」
「全員であーちゃんを探そう」
俺の弟は、たまに頼りになる。行動力の化身だ。
「久々だな」
「やっほー!」
「ティナ、光平…今準備で忙しいだろうにありがとう」
「どうせ愛楽のことだろ?ったくあいつはいっつも世話焼かせるよなー」
「しょうがないよ〜。それが愛楽だもん」
「だな」
いつもの感じですごく安心する。僕はみんなに言った。
「愛楽を探す。何をしてでも話を聞き出す」
「愛楽がどこにいるかっていう目処は立ってるの?」
「まだ。まずは海斗くんに話を聞こうと思う」
「じゃあ家に行かなきゃ」
「でも引越ししたんだ。その家もわからない」
「高校は?せめて誰かと一緒なんじゃない?」
「…愛楽、高校は行かないって春から決めてたの」
「「「はぁ!?」」」
ティナ以外の声が重なる。そんなこと知らなかった。勉強のやる気がなかったのは頭がいいからじゃなくて、必要がなかったからなんだ。
「ごめん、愛楽から言わないでって言われてて」
「じゃあ中学の先生にあたろう。もしかしたら話を聞いてるかもしれない」
「そうだね!じゃあ今から懐かしの学校に…」
「いや、ちょっと待て」
僕と奏舞が行こうとするのを光平が止めた。
「そこまでするってことは、アイツはお前らに会いたくないんじゃねーの?」
「「え?」」
「私もそう思う。愛楽はみんなといる時すっごく楽しそうだった。でも、それを捨ててまでしないといけないことがあったんだよ。それを私たちがジャマしていいのかな…」
2人の言うことはごもっともだ。僕だってそれが考えられなかったわけじゃない。
「でも、最後があってもいいじゃないか」
「そうだよ。バイバイって言えてない!」
「…じゃあわかった。アイツに最後の別れを言う。そのためにあいつを探すってことで」
「やるならとことんやろう!」
僕らはまず海斗くんを探すことにした。
「あーちゃん言ってたよ。海斗は友達と校庭で遊ぶことが増えたんだって」
「アイツ海斗のこと大好きだったからなー…」
「行ってみよう」
小学校の校庭に行ってみた。でも海斗くんはいなかった。少し待ってみると、ジュースを持った海斗くんと男子4人が来た。どうやら飲み物を自販機で買っていたらしい。
「海斗くん、久しぶり」
「あ…奏舞くん、空舞くん」
「海斗の知り合い?」
「うん。先に行ってて。これお願い」
「おう」
海斗くんは友達にジュースを渡し、僕らを見た。
「どうしたんですか?」
「愛楽は今どうしてる?」
「姉さんは元気にしてますよ」
「あーちゃんって今家にいる?」
「さぁ…俺たち朝から遊んでるから今は知りません」
綺麗に答える。これも愛楽と同じだ。
「最近どこかへ行った?」
「レヴィさんと出かけることはありますよ」
「やっぱりあの二人付き合ってるの!?」
「奏舞お前、今それ聞くか!?」
「だって気になるじゃん!」
「…はい。付き合ってます」
奏舞はそれを聞いて顔が青ざめていた。でも僕が気になったのは海斗くんの答え方だ。少しの間で何かを考えたのだ。どっちのほうが愛楽に有益に運ぶか。やっぱり何かを隠している。
「そう。じゃあ僕らはこれで失礼するよ。ありがとう」
「いえ」
安心したような顔をして確信した。嘘を突き通そうとしていたんだと。
こういう細かいところはまだ子供だなと思い知らされる。
「おいおい空舞!良かったのかよ」
「なにが?」
「何がって…アイツ絶対なんか知ってたぞ!」
「うん。今のが愛楽に近づけるギリギリのラインだったんだ」
「…お前、何考えてんのかよくわかんねーな」
「褒め言葉として受け取るよ」
「次はどうするの?」
ティナが心配そうな顔で聞いてくる。僕はふと思い出した。中二の冬、愛楽が僕に何かを言おうとしていた。
「少しSNSを頼ろうか」
「え?ちょっ、空舞」
僕らは図書館へ向かった。
パソコンを借りて、検索サイトを開く。
「何を調べるの?」
「殺し屋っているのかなって」
「空舞お前…もう高校生になるんだぞ?」
「違うよ光平。昔愛楽が僕に何かを言おうとしたんだ。たぶんあれは殺し屋だ」
「でも、そういうのって調べて出てくるものなの?」
「出てきたらびっくりするけどね」
口々に話しているのを聞き流し、『日本 殺し屋』と調べた。すると、それらしきものが出てきた。
「マジかよ…」
「ん?でもこれ殺し屋って名乗ってるだけの連続強盗犯だったって書いてあるよ?」
「なんだよ…違うのか」
「まって空舞。この先読んで」
「えっとね…**容疑者は取り調べに対し、恋人が殺し屋に連れ去られたから復讐としてやったと話しており、捜査は難航している。だって」
「恋人が殺し屋に連れ去られた…?なんだそれ。普通殺されたっていうのが普通だろ」
もしもだ。もしもこの世の殺し屋は変わっていて、殺すんじゃなくて誰かに協力して捕まえてるのだとしたら…?その誰かが警察だとしたら。
「この人のSNSを見つける」
「はぁ!?そんなことできんのかよ」
「俺この人見たことあるよ!」
「あんのかよ!」
「ちょっと待ってね。えぇっとー…これ!」
奏舞がスマホで見せてくれたのはインセタのプロフィール画面だった。たしかに顔写真があの人容疑者と同じだ。
「なんか彼女とラブラブで、どうしたら好きな人に振り向いて貰えますかってDM送ったの」
「奏舞って本当に行動力がすごいね…」
ティナが地味に引いていた。
「その人の投稿を見よう」
「うっわ…すげぇリア充じゃん」
「でもこの最後の投稿、彼女が連れ去られた。**通りまで追いかけたのに見失ったって書いてある」
「これだ…ここにいるかもしれない。愛楽が!」
「今すぐ行こう!」
「「待って」」
僕と奏舞が行こうとするのを今度は光平とティナが止めた。
「本当に殺し屋なんだとしたら、私たちがどうなるかわからないんだよ?」
「まだ死に時には早すぎんだろ」
「でもっ、やっと会えるかもしれないのに!」
「ここまで調べたんだ。会うだけでいい」
「会うだけで殺されるかもしれねぇって話なんだよ!」
愛楽が、僕たちを殺す?
「愛楽には絶対にできないね」
「あーちゃんはできないよ」
ほぼ同時にそう言った。光平とティナは、どうなっても知らないと言ってそこで僕らと別れた。それでもいい。僕と奏舞だけでも愛楽に会えさせすればいいのだから。
ゆみと弓
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コメント
1件
あー、もうこの話の空舞の冷静さと執念のバランスがめっちゃ好きだわ。みんなで愛楽を探そうって動き出すところ、特に空舞の「♡♡♡屋っているのかな」って切り口が天才的。海斗くんの嘘を見抜くシーンも「まだ子供だな」って空舞の視点、クールで刺さった。それにしても光平とティナが止めるシーン…「愛楽には絶対にできない」って即答する空舞と奏舞の信頼、泣ける。次どうなるか気になりすぎる🔥