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「市立図書館」大きい段ボール箱のような建物にでかでかと記されたゴシック体の文字。
入口に立ちはだかる自動ドアがガタガタと音をたてながらも、静かに…いや、神聖という表現がふさわしいだろうか。
とにかく、無駄に思えるくらいに大きなガラスのドアが開くのである。
普段、勤務している保育園に比べると全てが大きい。
あまりに大きいから、あの子やあの子は泣き出してしまうのではないか。
可愛い子供たちの顔を思い浮かべながら、ぼんじゅうるは図書館の奥へと進む。
広い館内で、俺が迷子になり号泣しそうだ(笑)。
…図書館の北側。絵本のコーナー。
今日は子供たちに読む本を本屋で買う前に目星をつけようと図書館まできたのである。
いきなり本屋に行っても内容を読むことはできないから、こうやって良さそうな本を探すのは大切だ。
なにより、子供たちが喜ぶ顔を想像するのは何よりの幸せだったりする。
お、これは…? ペラペラと絵本をめくり、棚にしまう。良さそうなものはタイトルと作者をスマホにメモをする。
ざっと絵本のコーナーを1周して、自分も何か本を読もうかな…歩きだそうとした瞬間。
1冊の本が目に留まった。
絵本のコーナーにあるが、とても分厚く大人でも気が重くなるような小説らしき本だった。
中には文庫本サイズの細かい文字がびっちり。
群青色? 藍色? …色の名前は分からないが、きれいな深い青色の表紙。金色でタイトルが記されている。
「ドズルシャ寓話」。
ドズルシャ寓話…聞いたことがない。
イソップ寓話とか、それらと似たような話なのだろうか。
もう一度、パラパラとページをめくってみる。
…ところどころ、文字が黒く塗りつぶされている。
なぜだろう。不穏な空気を感じる…が、この寓話が無性に読みたくて。
ぼんじゅうるは読書スペースに行き、寓話の1ページを開いた。
黄昏時。少し茶色くなった紙に、夕日がさらに色をつける。
今、寓話が、開かれる…。
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