テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#恋愛
桜咲かな
934
#恋愛
桜咲かな
687
#恋愛
桜咲かな
733
桜咲かな
742
シャインがアメリア国の城に居座って10日が経ったが、見事に雨が降らない。
しかしシャインは遊んで暮らしている訳でもない。どこかに出掛けたかと思えば、フラッとレイニルの部屋を訪れる。
「え、シャイン……泥だらけ……何をしたのですか」
「あぁ、ちょっと民家で畑仕事を手伝っていた。なかなか楽しいな!」
大柄で体格が良く健康体のシャインは、勝手に城下町まで出かけて庶民と馴染んでいた。フレンドリーな性格もあり、一国の王とは思えない。
ヴェルクも隣国の国王であるシャインをどうする事もできずに今日まで黙認していた。
そして夜になるとシャインはレイニルの寝室に押しかけて堂々と夜這いをする。
「シャイン……このままだとアメリア国にもヴェルク様にも、ご迷惑がかかりますし……」
「心配いらない。費用はサンディ国に請求してもらう」
「そうではなくて……」
「お、サンディ国に帰る気になったか」
毎晩、ベッドでシャインに押し倒されているレイニルは、ついに押されて負けそうになっている。
ここまでされたらシャインの愛は本物だと認めざるを得ない。ローサとのキスの件に関しても許すしかないだろうと。
それに晴れ男のシャインがこのまま居続けたら、雨が降らずにアメリア国まで枯渇してしまう。その罪悪感もあった。
「ならば、改めて言う。オレはレイニルを愛している。結婚してくれ」
すでにサンディ国では夫婦のはずなのに、改めての求婚にレイニルの胸も再び熱くなる。
素直に嬉しいと思えるこの感情こそが自身の幸せで愛なのだと、ようやくレイニルは答えを見付けた。
「はい。シャイン……愛しています。あなたの妻でいさせてください」
10日で陥落した可愛い妻と勝利を得たシャインは、抗えない衝動のままレイニルを強く抱きしめる。
「可愛いな、レイニル……今夜は激しく抱いてやるから覚悟しろ」
「……優しくしてください」
明日になったら、シャインと共にサンディ国に帰ろう。ヘリオス様は、ローサお姉様はどうしているのだろうか。
そんな事を思いながら、重ねられるシャインの肌を両腕で抱き返す。レイニルは全身を巡る熱と幸福感、それが愛なのだと強く肌で感じた。
その夜も、やはりシャインは耳元で何度も『愛してる』と囁く。それで洗脳されても構わない。レイニルはその愛を何度でも何百回でも心と体に刻みたいと思う。
そんな時に、執務室で今後の事を思案しているヴェルクの元に1通の手紙が届いた。
それはサンディ国の王宮からで、シャインへの不信任案と国民の意向により、ヘリオスが国王として即位したとの知らせだった。
これで必然的に婚約者のローサが王妃となる未来が見えてくる。
「シャイン様は失脚された、という事ですか……」
ヴェルクは片肘を机に突きながら、口の端を歪めて微笑んだ。
シャインとの一夜を過ごした次の日の朝、レイニルはサンディ国への出国の準備をしていた。
30日以内に雨が降った事で契約結婚の勝負はレイニルの勝ちが確定している。しかし同時にレイニルがシャインを愛した事でシャインの勝ちも確定。
つまり最終的な判定は二人とも勝者で引き分けだが、勝敗に関係なく結果は同じ事であった。
(これからはサンディ国で、ずっと夫婦としてシャインと過ごせるのね)
レイニルが着替えを終えて、あとは馬車とシャインの準備が整い次第、アメリア国を出発してサンディ国へと向かう事になっている。
この城でメイドになってくれたステラには申し訳ないし、ヴェルクの求婚の返事も曖昧なままだが、この状況なら言わなくても察してもらえるだろう。
そわそわと待ちきれなくて、レイニルは窓際に立つと外の景色を眺める。
すると、ちょうど下に見える城門の前あたりに、武装した兵に囲まれてどこかへと向かうオレンジ髪の男性の姿を見付けた。
(え……あれは、シャイン?)
見間違えるはずもない。あれはシャインだ。レイニルは咄嗟に窓から離れて、現場に向かおうとして駆け出す。
しかし、ちょうど出入り口のドアを開けて部屋に入ってきたステラと正面から衝突しそうになる。
「……っ! レイニル様!」
「ステラさん! 今、シャインが連れて行かれて……何が起きてるの!?」
ステラもその件を伝えに急いで来たらしく、息を切らしながらも落ち着かせようとレイニルの両肩に手を添える。しかし、その顔は青ざめている。
「シャイン様は不法滞在の罪で逮捕されたようです」
「逮捕……!? どうして!?」
サンディ国で起きた事実を何も知らないレイニルには、何が起きたのか分からない。なぜ今になって、このタイミングでの逮捕なのか。
シャインが失脚したこと、ヘリオスがサンディ国王となったこと、それによってヴェルクの対応が変わったこと……何もかも。
コメント
1件
うわあ、このタイミングでの逮捕……! 昨夜あんなに甘くて幸せな時間を過ごした直後だからこそ、余計に胸が締め付けられますね。レイニルが何も知らずに出国準備をしている姿と、窓から見えたシャインの後ろ姿の対比が切なすぎます。ヴェルクのあの微笑みも、ただ事じゃない感じがしてゾッとしました。続きが気になって仕方ないです……!