「陽さんに比べて俺は、これまで付き合ってきた人数が圧倒的に少ないだろうから、経験が浅い分だけストレートな物言いしかできなくて、なんていうかこう……。さっきの陽さんみたいに、仕草だけでドキドキさせることができたらなぁって思ったんです」
「雅輝の経験が浅いからこそ、こっちの読みを外すような行動をされるせいで、十分にドキドキさせられてるっちゅーの」
「ねぇ、今もドキドキしてる?」
吐息と共に囁いた宮本の声に、橋本が躰をビクつかせた。
「おいっ! わざと耳元で喋ったろ。弱いこと知ってるからって、卑怯だぞ」
「え~っ、抱き合っていたらお互いちょうど、耳元辺りに顔がくるじゃないですか。わざとじゃないですよ」
「『ねえ』の部分、いつも以上に息を吐きかけていただろ」
「陽さんってば、俺の質問に答えてくれないんですね。ドキドキしてるかどうか、直接触れて確かめちゃいますよ?」
橋本を抱きしめていた片手を使って、長袖のシャツの裾から手を忍ばせる。
「おまえそういうのは、もうしないはずじゃ……」
腰から徐々に肌をなぞって左胸に到着させ、人差し指で乳首を弾いてやった。
「んんっ…っぁ!」
「ドキドキと一緒に、熱い想いがじわじわ伝わってきます。良かった」
「よくねぇ、よっ。雅輝の手のせいで、ドキドキがっとまら、ないっ」
宮本の躰にしっかり抱きついた橋本は、雄の印を腰骨に押しつけた。
「むぅ、やっぱり3回じゃ足りなかったんだね。このままここでしちゃう?」
反対の手で橋本の敏感な割れ目を、ゆっくりとなぞった。
「や…め…っんん、ここじゃだっ、駄目だ。狭ぃ」
「きっと大丈夫ですよ。上半身は俺が押さえ込めばいいだけですし、陽さんの片足をソファの背もたれに引っかければ、狭さも上手いことカバーできますって」
笑いながら告げると、それまで大人しかった橋本が腕の中で暴れはじめる。
「やらしすぎる。そんな恰好させられる、俺の身にもなってみろ。恥ずかしいに決まってるだろ。絶対に嫌だ!」
視線を鋭くしているのに、頬を少しだけ染めるという、表現しがたいかわいい顔で抵抗されるだけで、宮本の闘志に火がついた。力任せに橋本の躰をソファの上に押し倒して、素早く跨る。
「ちょっ、いつも動きが緩慢なのに、こういうときに限っておまえは!」
「繋がってるところを眺めながら、出したり挿れたりしたら、さぞかし気持ちいいんだろうな」
「あっ悪趣味にもほどがある!」
眉根を寄せて不快感を表す橋本を、宮本はニヤニヤしながら見下ろした。
「見られながらするの結構好きなくせに、そんなこと言っちゃって。俺のがもげる勢いでギュンギュン中を締めつけて、いつも感じさせてくれますよ」
(今の俺ってば、ものすごく意地悪な顔をしてるんだろうな。そんな最低な俺に見つめられる陽さんは怒ってるのに、瞳を潤ませつつ顔が真っ赤だから、全然怖くない。今すぐに感じさせて喘がせたい――)
「それは雅輝が変な目で俺を見るから、すげぇ恥ずかしいだけであって、感じてるわけじゃねぇよ!」
ギャーギャー喚く怒鳴り声を完全に無視して、宮本は跨っていた自身の躰を下にズラし、橋本の片足を手に取る。
「よいしょ。陽さんの長い足を、背もたれにかけてっと」
「やめろっ、足が開きすぎだ。というか俺の話を聞け!」
「どんなふうになるか、試しにやってみただけですよ」
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