私の名前はイレイザーヘッド。
抹消ヒーローだ。
個性は消せるんだ。何でもね。
ただ、それはあんまり好きじゃない。
なんせ、こっちからは見えないしなぁ。
あー……あと、あんまし人前で使いたくない。
だって恥ずかしいだろ? でもよぉ、俺の個性ってそういう感じじゃん? だからさ、もうしょうがないわけよ。うん。
俺は別に悪くないよね。
悪いのはこの社会だよな。そう思うわ。ホントに。マジで。
だいたいさぁ。
個性があるせいで、人間同士の関係がギスギスするんだよ。わかる? 個性は生まれつき備わる性質だけど、親や環境とかとは無関係だしな。
そりゃあ、親の個性を受け継がなかった子もいるけどさ。
逆に、すげぇ強力な個性を持って生まれた子がいて、それで大変な目にあってる人もいるけどさ。
でも結局、一番かわいそうなのは、個性のせいで苦しんでる子どもじゃねえかな。
だってそうだろ? 自分の持ってる力が、誰かを傷つけちゃうなんて悲しいじゃないか。
そんなん嫌すぎる。
俺なら耐えられない。無理。絶対ムリ。
だから、この世の中でいちばん強いのは、おれさまだよ! そんなことを言ってる奴ほど弱いんだよ。
どんなに強い人でも、弱点はあるんです……。
みんなちがうよ~♪ ひとりだってこわくないさぁ☆ おわりのない夢を見ています。いつまでも覚めない悪夢を。
その歌を聞くたびに思い出す。それはもう永遠に戻らない日々。
その記憶は色あせることなく今もなお鮮やかに蘇る。
『あの子』がまだ小さかった頃の記憶―――。
***
「お母さん、見て見て!」
元気よくそう言いながら部屋に飛び込んできた女の子は、『あの子』の妹にあたる娘であった。
「あらあら、今日は何を作ったのかしら?」
「えへへー」と言いながら嬉しそうな顔をしながら手に持っていたものを母親に見せびらかす。
「じゃーん!!」
妹ちゃんは元気かなぁ……。
うーん。こっちにもかわいい子がいたんだよね~。そろそろ帰してあげないとまずいかもぉ。
そういえばさ、あんまり覚えてないんだけど、あの子のこと、助けたことあったような気がしない? わたしたちがこの世界に召喚されたのは、もう三年前のことになるわね。
当時高校生だった私たちは、突然異世界に呼び出され、勇者になれと言われても戸惑うことしかできなくて――でも、そんなとき、彼女は言ったのよ。
「みんなが困っているのに、黙って見ているなんてできない! 私にできることがあれば何でも言って!」って
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