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いつからか、なんて覚えてない。
なぜ自分にだけは、こんなに構うかも分からない。
ただ、これだけは自信がある。
守若の兄貴にとってこのオレ、佐古大和は“特別”だ。
だって守若の兄貴に「伝説の男」は自分だけなのだから。
そしてオレにとっても守若冬史郎は“世界で一人だけの特別”
だから、たまにはこの想いを行動に表してみようと思うんだ。
守「伝説の男佐古ぉ、今日も一緒にシマの見廻りだぁ」
いつも通りオレを指名して二人で出掛けると、彼はオレだけの前で無防備に振る舞うのだ。
それは何にも代え難い時間で……
人気の無い路地裏に入ると考えるより先に手を伸ばしていた。
かぷっ
後ろから抱き締めて左肩から首の付け根の一点に軽く歯を立てる。
守「ぅぁっ!?」
想像の遙か上の反応で、ビクッと守若の兄貴の体が飛び跳ねてすぐにオレの手から逃れるのと同時に甘噛みされた箇所を左手で押さえる。
守「さこ……ッ、な、何すんだこのヤロぉ~……」
明らかに動揺して高く上擦った守若の兄貴の声。
そして僅かに振り返った“一瞬”は、オレが付けた見えない首輪(自分のものだという証-あかし-)に、 全身を朱に染めて照れた表情だった。
それは反則ですよね?
こっちまでときめくんですけど!
全く、何て凶(狂)悪で最高にかわいらしい世界に一人だけの生き物なんだろう。
そして彼は背を向けて足早に歩きだす。
改めて思うのだ。
どんな時も気配に超反応をする守若冬史郎が、自分が抱き締める気配に気付かないなんてあるのだろうか?
もしかして色んな意味で守若の兄貴を、もっと愛でても良いのでは。
街の喧騒の中でオレは呟く。
佐「……オレだけのものですから、覚悟してくださいね」
そして自分の口角がニヤリと上がったのは彼が背を向けているから見えないのだ。
オレは追いつくために走り出した。