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テスト2日目。
この日は副教科が多いからか、昨日よりは空気が張り詰めていなかった。
とはいえテストはテスト。教室にはシャーペンの芯が紙に当たる音が途切れることなく続く。
(…!さっきみはのノートで見たやつだ!)
灯も順調に問題を解いていく。
灯は問題を解き終わり、少しだけ頭を上げて教室の壁にかけられた時計を見る。あと20分もある。見直ししても時間は余りそうだな。
そう思いながら、目線だけを他の生徒へ向ける。どうやら灯以外の生徒も終えた人が多いようだ。ぼーっとしている人もいれば、机に突っ伏して寝てる人もいる。
(さすが保健体育…。前回もそうだったけど、時間余るなぁ)
灯は少しだけリラックスするように呼吸する。
さて、ゆっくり見直しでもしよう。
そう思った矢作、
コツ、コツ、と足音のようなものが近づいてくる。
普段足音なんて気にしたことないから少し不思議に思った。
その音はだんだんと大きくなる。
コツ、コツ、コツ、コツ
(ゆっくりだな…。でも誰だろう、テスト中は生徒は教室だし、先生たちは採点か試験監督で歩き回ってるはずがないのに)
時間が余っていることもあり、教室のドアの長方形の小さな窓ガラスを見つめる。といっても、本当に目だけを向けているだけなんだが。
カンニングと誤解されたくない。
にしても、こんなに足音が響いてるのに誰も気にしてない。
まるで灯以外聞こえてないようだ。
そのとき、ドアのガラスの向こうを誰かが通過した。
(ん…?)
思わず顔をドアへ向けてしまいそうになった。
(今の子…うちの制服じゃなかったような…)
一瞬ガラスの向こうに映った人物を思い出そうとする。
(見た感じ、身長的に先生ではなさそう…)
遠のいていく足音。ただ、一瞬ガラスの奥に映った人物が気になって仕方がない。
…が、別のところから視線を感じる。
(あっ、やば)
視線を机に戻す。ドアの方を見すぎたせいか、試験監督の先生がこちらを見ていた。
カンニングと思われてませんように…。
そう心の中で願い、灯は見直しを始める。
休み時間。
灯は美英に尋ねる。
「ねえみは。さっきの時間、なんか足音が聞こえなかった?」
「えっそう?私は気づかなかったなあ」
と、申し訳なさそうに笑う。
(そっか…。教室は静かだったから結構目立つ音だったと思うんだけど )
「そーれーよーりっ!次は歴史だね!灯の得意分野でしょ!今回は負けないよ!」
「いやいやいつ勝負したの」
「前回歴史は灯に負けたからねぇ。今回こそ!」「質問の答えになってないよ…」
なんか話してたらスッキリした気がする。
5分前になり席へ戻る。
慣れたように問題用紙が配られる。
よし、歴史は前回より点数を上げたいな。
そういえばみはがなんか勝負してたけど、やるなら勝った方がいいのかな。にしてもさっきの足音って…
そんな考えを断ち切るようにチャイムが響く。
ワンテンポ遅れて灯もシャーペンを手に取り、回答用紙に名前を書き込み問題用紙を開いた。
コツ、コツ…
(…!)
さっきの足音だ。小さい音だけどやっぱり聞こえてくる。
ただ、みんな気にしてないようだ。
いくら静かでシャーペンの音が響いてるからって、足音は気づくんじゃないかな…
いや、集中集中。
足音は大きくなっていく。やっぱり近づいて来てる。手を動かすのを止め、周りをチラリと見る。(…みんな気づいてない、のかな…。)
あっ、もしかしてアカリかな。いやでもあの子はいつも浮いてるし、歩いてるところは見たことがない。教室の外に気を取られそうになるが、帰ったらアカリに聞いてみよう。と思い、灯は再び視線を問題用紙に戻す。
「じゃああかりん!また明日ね〜。今回の歴史は絶対勝つからね!!」
「あはは…またね」
やっぱり勝負になってる…。まぁ歴史は大丈夫でしょう。
通学路を別れ、それぞれ別の方向に歩く。
(明日は英コミュと論理表現のダブル英語かぁ、自信ないなぁ。まぁ、とりあえずアカリに今日学校に来たか聞こっと)
すこし暗い気持ちになり家へと帰る。
自分の部屋に入り、姿見の前に立つ。
えっと、この前はアカリに無理やり美術館に連れてこられたけど…。どうすればいいんだろ。
目の前にあるのは自分の姿を映したただの姿見にしか見えない。
ゆっくりと指先を伸ばしてみる。
すると、ちゃぽんっ と水のような音が鳴る。本物の水面のように、触れたところを中心に波紋が広がり、ゆっくりと鏡に映った灯が歪んでいく。そして新しく鏡に映ったものは…
「あっ」
美術館が映ってる…。
まるで水の中に美術館があるみたい。
えっと、この前は確か盛大に転んだから…
この前のことを思い出す。灯は少しだけ姿見から距離を取り、ジャンプするように鏡入った。
トッ
少しよろけたが、無事着地する
(…!やった、転んでない!よかったぁ)
この前より成長した気がして感動する。
と、灯の近くにあった別の鏡からアカリがぬるりと出て来た。
「わっ灯⁉︎めずらしいね!灯から来てくれるなんて!」と、アカリは空中で跳ねるような動きをする。
「あっ、アカリ。ちょっと気になることがあって来ちゃった」
「んふふ、なになにぃ〜?美術館の事ならなんでも聞いてね!」
「あっ、えっと、、。もしかして今日学校に来た?」
「学校?灯のとこの?行ってないよ」
首を傾げるアカリ。
(…やっぱりアカリじゃないんだ…)
アカリは灯を不思議そうに見つめる。
「あっ、えっとね、今日テスト中に足音が聞こえて、生徒も先生も廊下には出れないはずなのに不思議だなって思ったの。しかも友達に確認しても知らないらしくて…」
「へぇ、?あっ、もしかしたら、灯以外のみんなは集中しすぎて周りの音が聞こえなかったんじゃなぁい?」
「んー…そうかもしれない、けど…」
足音は何回も聞こえたし、ハッキリ聞こえたんだけどなぁ…
するとアカリが隣で「あっ」と言った。
「?何か思い出したの…?」
「ん?いーやなんでもないよ。ふふっ」
絶対なんか知ってそう…
というか、何か企んでそうな笑顔だ。
スッキリしないが、今のアカリからは何を聞いても流されそうだし、今日はそろそろ部屋に戻って勉強しよう。
灯はアカリに手伝ってもらい自分の部屋に戻る。帰り際に「また私に会いたくなったらいつでも来てね!」とアカリ。
もうすっかりアカリの手には慣れてしまった。
定期テストは残り2日。
すこし気持ちがスッキリしないが、灯は明日の教科の復習を始めた。
#夢小説
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