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「――デン……ジェ……ジェイデン!」
「……?」
「お前、鞭で頭を打たれて倒れたんだぞ!? 大丈夫なのか?」
俺は首を横に振る。
「う……ふっ、ぉーあ?」
「2人か? 2人は今殺し合いをさせられて、それからジュゴンが止めに入って、代わりにジュゴンが2人を殺そうとしてるんだ…あんなことやりたくねえのに!」
ブリードの野郎、本当に最低だな。だが、俺がここで止めに行くのは、ことがさらに悪い方向に……
そう思った時、クンフージュゴンが2人をまとめて殴り飛ばした。ガラスが割れ、2人の体が外に出ていった。
待ってくれ、外は海だ……能力者の2人が落ちたら……。
俺は全身の血の気が引いていくのを感じた。
俺はふらつく頭なんてどうでもいいと言わんばかりに走り出す。海は揺らいでいた。本当に落ちたのか…? 今すぐにでも助けに行かねえと、2人が!
「ジョン、待て!」
ブリードの言葉で俺の足が止まる。俺がブリードを睨むと、ブリードは不愉快そうに俺に向かっていった。
「伏せ」
俺の頭が床につく。
「クオッ!」
「伏せ」
クンフージュゴンも床に伏せ、頭を踏みつけられる。また鞭が降りてこようとした時、チョッパーが声を上げた。
「やめろ!」
「おお! チャッピー、どうちまちたぁ? 麦わらのことなんてもう忘れまちょうねえ~、お前は忠実なペットとして、俺様の作る王国で一生暮らしていくんでちゅよ~」
そう気持ち悪い猫撫で声で言ったブリードの顔をチョッパーが殴った。
「何の真似だ?」
「おれは海賊だ!」
そう言ってチョッパーは着せられていた帽子を脱ぎ捨てる。
「海賊は自由なんだ。お前のペットになんか、死んでもなるもんか!」
「お前…この俺様を裏切るつもりか?」
「裏切る? おれの船長はルフィだけだ!」
「バカか! 麦わらはトラファルガーと共に海の藻屑となった。わかってんだろう?」
俺は口枷を思い切り噛んで破壊する。金属じゃなくてよかった。火事場のバカ力ってこういうことを言うんだろうな。
「…ふざけんなよ変態野郎が、ローとルフィが死んだ?」
「お前…」
「あの2人がテメエの想像通りになる奴らだと本気で思ってんのか!?」
「そうだ! ルフィがお前なんかに負けるもんか! ルフィは海賊王になる男だぞ!」
「海賊王だと? イカレてんのかテメエ!」
ブリードが思い切りチョッパーを床に叩きつける。
「イカレてんのはどっちだよ。自分に従順な動物だけの王国を作るって、そんな空しいもの作ってなんになる!? 何もわかってない。他人の気持ちをわかろうとしない奴なんかに誰もついてこねえよ!!」
「黙れ!! 黙れ黙れ黙れ!!」
鞭を放つ。痛いが、もうどうでもいい。
「……あとはお前たちがやれ」
海獣たちが首を傾げ、すぐに動かなかったのを見て、ブリードが声を荒げた。シーラパーンが俺達に攻撃を仕掛けようとする。武器がない状態でどこまでやれるか……。六式だけでどうにかなるか? その時だった。
衝撃音と共に、シーラパーンが床に倒れていく。
「ルフィ!」
「ロー!」
俺とチョッパーの声が重なる。やっぱり死んでなかった。
「チョッパーとジェイデンを返してもらいに来た。あと、お前を1発ぶん殴る!」
「何故だ? テメエらは海に叩き落したはずだろう!」
「てめえの能力はもう通用しねえ」
「はぁ? 何言ってやがる」
「ンンッ……トラファルガー、麦わら、おすわりだ!」
ブリードの命令に従うことなく、2人は立っていた。おすわり、と言われても、2人とも座らない。ブリードは顔を怒りで歪ませる。
「フッ、やはりそうか。命令が聞こえなきゃてめえの能力は効果がない……だろう?」
「あぁっ…」
ローは耳栓を取り、こうすれば命令は聞こえない。と言って笑う。
「そこら中に設置された電伝虫と拡声器も動物たちに一斉に命令するためのものだろう?」
「てめえ、いつからそれを?」
「あの時、一瞬頭をよぎった。お前が牢屋でシーザーに命令したとき、こいつは一度だけ命令通りに動かなかった。怒りでおまえの声が聞こえなかったんだ。それが分かってからはお前に操られたフリをして、シーザー奪還の機会を探っていた」
「グ~ッ……麦わらとの戦いも?」
「ああ、操られたフリをしていた。ただし、こいつは本気で操られていたがな」
今は耳栓をつけているルフィだが、殺し合いをさせられている時は本気で従っていたらしい。まあ、操られたフリ、なんてルフィは出来なさそうだからな。多少のダメージを追うことになったとしてもそっちのほうがいい。
「能力さえ使えりゃ、海に落ちないようにするのは簡単だ。それに、シーザーをすぐに回収できたのはラッキーだった」
「俺はラッキーじゃねえよ、最悪だ!」
「ジェディ、無事か?」
「…あは、大分体痛い」
「タヌキ屋を抱いて端に寄ってろ」
「うん」
俺はチョッパーを抱き、歩こうとして転ぶ。安心したからか、足に力が入らねえ。チョッパーが俺の腕から抜け出して立ち上がる。
「大丈夫かジェイデン」
「……へへ、だいじょうぶ。あとはローがなんとかして、くれるから……」
瞼が勝手に下りてくる。眠気……か? ダメだ、ここで寝たら……。
そうは思ったが、また俺の視界は暗転する。