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「えっ?」



「最初にスクールにいた双葉さんを見た時、すごく不思議でしたけど、そこだけがキラキラして見えて」



涼平先生……



「そ、そんなことありません。私はキラキラとは無縁なんで、誰かと間違ってませんか?」



「間違うはずありません。遠くからでも双葉さんが素敵な女性だってことは十分わかりました」



「素敵な女性って……ますます誰かと間違ってます」



涼平先生の真っ直ぐな視線から、なかなか目をそらすことができない。



「レッスンしてる姿がすごく楽しそうで、何だか常磐先生をうらやましく思いました」



「そんな……」



あの時、私は理仁さんにすごくドキドキしてた。

涼平先生に見られてたなんて、すごく恥ずかしい。



「偶然ホテルで双葉さんに会った時、胸が熱くなって、何ともいえない気持ちになったんです。嫌かも知れませんが、僕は、勝手にあなたに『運命』みたいなものを感じてしまいました」



涼平先生の言葉に心をグッと掴まれる。

だけど……



「すみません。そんな風に言ってもらえて嬉しいですけど、やっぱり……」



「また、会ってもらうことはできませんか?」



「……あの……」



新しい恋がしたいはずで、まだ付き合うわけじゃないのに、私は何を躊躇してるの?

1歩踏み出さないと、涼平先生のことを知ることができないんだよ。



双葉、頑張れ、勇気を出して。



「ダメ……ですか?」



「……すみません。今は色々忙しくしてて……」



ああ、ダメだ、何やってるの。



「そうですか……わかりました。でも、また誘います。せっかくこうして双葉さんと知り合えたんですから」



涼平先生、優し過ぎる。

気の利いたことを何も言えない自分が情けない。



「次回、会えるのを楽しみにしてます。お疲れ様でした。気をつけて帰って下さい」



こんな私にニコッと微笑んでくれた涼平先生。

去り際の笑顔にほんの少しだけ翳りが見えたのは、私の気のせいなのかな……



せっかくの誘いだったのに。

新しい恋を望むなんて、私にはやっぱりまだ無理なのかも知れない。



重い足取りでスクールを出たら、空が夜に向かってゆっくりと色を落とし始めていた。

その光景を見上げ、私は思わず大きなため息をついた。

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