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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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非常に眠気を誘う授業を何とか乗り越え、早歩きで家に帰って来てから。
即、VRゴーグルを装着した。
そして兄に渡されたソフトをセット、そのままベッドへゴロン。
この手のゲームは、プレイ中身体は無気力状態になるので。
椅子に座ったままやったりすると、平気で落っこちたりするのだ。
という事で、寝転がったままゲームの電源を入れて瞼を下ろしてみれば。
さっきまで見ていた自室の天井とは違う、全く別の光景が瞳に映り込んで来た。
まるで全然違う世界へと急に踏み込んでしまったかのような興奮。
こればかりは、新しいゲームをやる度に何度でも感動を覚えてしまう。
なのだが……。
「開発中だから……かな? 説明文とかチュートリアルも無いや」
目の前にあったのは、武器庫……としか言いようのない場所。
自らの身体を見てみると、アバターとしての設定もしていない影響なのか、単色の人型だけの状態。
私のIDは表示されているので、機器情報を読み込んでいるのは間違いなさそうだけど。
まぁ良いかとばかりに周りを見渡してみるものの……周囲には、銃。
物凄く大量の、銃。
とにかくいっぱい壁に掛けてあり、床には木箱とか金属の箱とか。
ちょっとだけ蓋が空いていて、中には銃弾らしき物がいっぱい入っていた。
「鉄砲のゲーム……で、良いのかな?」
正直、こういうのには詳しくない。
これまでお兄ちゃんにテストプレイを任されたのは、結構ファンタジー系というか。
中世みたいな時代設定だったり、敵は怪物だったりしたのだが。
今回は、そういうのと銃で戦うのだろうか?
とにかくやってみない事には分からない、というのと。
コレも一応、兄が務めている会社を通して“アルバイト”という形でお金を貰っているのだ。
結果を報告して、歩合制……というか結果次第でお給料を貰う。
学生としては物凄くありがたい環境だし、何より大好きなゲームをやってお金が少しでも貰えるのは凄く嬉しい。
かといってコレも、お仕事を紹介してくれるお兄ちゃんの評価に関わると言われているので、当然手を抜く訳にはいかない。
なんて偉そうに言ったところで、私はゲームを楽しんでいるだけなんだけど。
「えっと……どうしよ。全部一緒に見えるというか……どれを選んだら良いのか分からないんだけど」
しかしながら、やはり銃の知識が無い者としては少々困惑してしまう状況。
ズラッと並べられても、使い方も分からないし。
ゲームだから、引き金を引けば多分発射はするんだろうけど。
でも私には、兄が持っていたアクション映画をちょっと見たくらいの知識しかないのだ。
そんな訳で一旦思考を停止させた。
コレ、いくら考えても答えが出ないヤツだ。
もう良いや、好みの形で選んじゃえ。
というか、強そうなのを持っていこう。
兄が務めている会社のゲームなら、結構な難易度の筈。
初見でクリア出来るとは思っていないし、そもそも銃の設定だって妙にリアルな可能性だってある。
前にやったファンタジーのゲームでは、剣を振ろうとちゃんと刃を立てないと斬れない、とか平気であったし。
五感全てを共有する“とんでも技術”だからこそ出来る、妙なところの拘りという訳だ。
これで痛みまで再現してしまったら、物凄く問題になりそうだけど。
などと思いつつ、とりあえずデッカイ銃を手に持ってみた。
けど、なんだろう。
なんかもう大きすぎて、どう構えればいいのかすら分からない。
というか重い、持ってるだけでもプルプルする。
今使っているゲーム機器、私の身体情報が登録してあるし……更には、現在はテストプレイ。
だからこそ、単色のデッサン人形みたいなアバターだとしても、身体のサイズは私のままなのだ。
そしてまだパラメーターも弄って無いから、肉体は弱小。
身長だって大きい方じゃない、というか小さいし。
身体つきだって、正直幼いと言われても文句が言えない様な体型だ。
だからこそ、完全に手にした武器に負けている感が凄い。
銃が本体ですって言われたら、何にも反論出来ない気がする。
「……やっぱりこっちにしよう。鏡を見なくても分かる、今の私ダサ過ぎる」
という事でデカい武器をよいしょよいしょと必死で壁に戻し、手元にあった小さいのを掴んだ。
真四角とも言えそうな武骨な形から、持ち手と銃口がちょびっと伸びている様なデザイン。
マガジン……で良いんだよね? 弾の入っている所は、持ち手から妙に出っ張っているけど。
まぁいいや、これにしよう。
という事で、武器決めましたー! とばかりに声を上げてみれば。
壁から急に扉が現れ、タグには『test』と書かれている。
おぉ、ちゃんと始まった。
そんな訳で、選んだ武器を手に……意気揚々と外へ飛び出してみると。
「おぉ……おぉ?」
物凄く、街中。
夜みたいだけど、人通りが多い繁華街って感じ。
そんな中にポツンと突っ立っている私、というか単色の人型。
しかも周囲には、人がいっぱい歩いているのだ。
武器を手にしている以上、何かと戦うゲームなのだろうが……周りには一般人っぽいモブがいっぱい居るんだけど?
この状態で、何かと戦うの? はて、と首を傾げていると。
「は?」
パンッ! と、乾いた音が後ろから聞えて来た。
振り返ってみれば、何やら怖そうな顔をした男の人が立っていて。
その手には、銃を持っている。
銃口から煙が上がっており、更には視界端のHPバーがガクッと低下したのが見えた。
あ、えぇと? 今私、撃たれた?
なんて事を思っている内に相手は銃を構え直し、更にパンパンッ! と二回銃声が鳴り響いた。
どうやらそれが、今度は顔面にヒットしたらしく。
目の前は真っ赤に染まり、そのまま暗転。
その後ゲームオーバーの文字が。
「いや、え、は?」
困惑した声を上げている内に、また最初の部屋へとリスポーン。
うん、待って。
テストプレイではたまにあることなんだけどさ、せめてルールを教えてくれないかな。
武器選んで街中に出たら、急に撃ち殺されたんですが。
正式なプレイが始まれば、流石にこんな事はないと思うんだけども。
今の私、何も説明受けてないからね。
いやまぁ、昨日の時点では教えてくれって頼める時間帯じゃなかったし、早く寝ろって言われていたので。
もしかしたらお兄ちゃんも、今日帰って来てから教えてくれるつもりだったのかもしれないけど。
もう、始めちゃったし。
「もう一回試してみよう!」
という事で、今度もさっきと同じ銃を手に掴んでゲームスタート。
再び人混みの光景が目の前に飛び込んで来たので、今度は周囲を見渡してさっき私を撃った人を探してみた。
すると、意外とすぐ見つかった。
後ろから、まっすぐこっちに向かって歩いて来る。
ソレに対して銃を構え、思いっきり引き金を引いてみたのだが。
「あ、あれ? 弾が出ないよ!?」
カチャカチャと何度引き金を絞ろうと、一切発砲する事が出来ず。
今度は目の前から、相手に撃たれて再びゲームオーバー。
う、う~ん? これは、バグ?
それとも、何か特殊な条件を達成しないと銃を使えないって事なのだろうか?
でも今のところ何も情報が無いので、また最初からやり直して……今度は、別の武器を選んでみた。
これでどうだ! とばかりにとても大きな物を選んでみたのだが。
「こ、今度は周りの人たちにぶつかって上手く銃が構えられない!」
このゲーム、モブにもちゃんと当たり判定がある。
そして大きな武器を見せた瞬間、周囲の一般人がパニックに陥ってぶつかって来た。
珍しいモブシステムではないが、それに慌てながらもデッカイのを正面に構えてみたのだけれども……これまた、パンパンッと乾いた音が響きわたってゲームオーバー。
最後の抵抗とばかりに引き金を引いてみたのだが、やっぱり弾は発射せず。
えぇ~……どうやったら攻撃出来るの? コレ。
そんな事を思いながらも、まず逃げてみたり、これまた武器を変えてみたりして何度もトライ。
その結果、分かった事が幾つか。
「武器を見せびらかしていると、周りから敵が襲って来る。あと、民間人も怯えさせちゃう。基本的に銃は隠さなきゃ駄目なんだ……それから、撃てないのは多分銃そのものの構造。安全装置がどうとかって、映画でも言うもんね……」
銃に関しては未だによく分からないけど、ちゃんと撃てるヤツが幾つかあった。
映像でしか見た事ないけど、見様見真似で銃を弄り回してみた結果。
ハンドガンなら、ちゃんと撃てるのがいくつか。
マガジンにちゃんと弾を入れて、上をガショッてしたら撃てる。
でもたまに撃てないのがあるのは、これもまた“安全装置”ってヤツなのだろうか?
基礎知識が必要なら、それこそプレイヤーを選んでしまいそう。
私みたいな素人だと、こういうのも分からないぞーってお兄ちゃんには言っておいた方が良さそうだ。
などと思いつつ、此方の銃口が煙を上げ。
目の前で倒れる、もはや私を何度殺してくれたか分からない男の人。
いよしっ、勝ったぜ。
なんて、拳を握り締めた瞬間。
「は?」
周囲に居た人たちが此方に向けて、一斉に銃を構えて来たではないか。
あ、あぁ~これはもしかして。
一般人の前で銃を見せる事自体がNGなのは当然として、普通の人に扮して敵が潜んでる?
それとも誰にも見つからない様して、こっそりと相手を倒すゲームだったりするのだろうか?
派手にバンバン撃ちまくるタイプではなく、映画に出て来る殺し屋みたいな攻略方法?
だとすると、人混みで戦う事自体がタブーなのか。
とか思っている内に、再び蜂の巣にされた私。
でもまぁ、段々と分かって来たぞ。
とりあえず私が使える武器も分かったし、最初の敵に撃ちまくったら普通に弾切れを起こした。
続く敵の数を見る限り、もっといっぱい弾を持っていかないとそもそも攻略云々の話ではないのだろう。
もしくは、相手の武器を奪えたりするのだろうか?
これはまた、なかなかやりがいのあるテストプレイです事で……。
「もう一回! 武器は同じの! 弾いっぱい!」
早くもヤケになり始め、何度も何度も死に戻りを繰り返し始めるのであった。
けど私は、これまで親から教えられた事しかやって来なかったから。
だからこそ、こういう“手探り”な感じ……凄く、好きだ。
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