第2章「仄暗い願い」その27
修介を脅(おど)していた犯人と、脅した理由がわかった。
つまり――
「……やっぱり犯人は、いなかったみたいだね」
香島がぽつりと呟(つぶ)いた。
変わらず、修介たちがいる場所に人の気配は皆無だ。
男子二人もいなくなった今、余計に静けさが増している。
「そう、なるのかな」
「さっきの二人の様子だと、むしろ勝手に倒れてくれたほうが嬉しいみたいだったしね」
「うん……」
「もし彼らが噓をついていて、安藤くんに何かしていたとしたら……もっと早く、その痕跡を見つけられたと思うし」
自分たちが疑われる行動を考えなしにしていた上、ちょっとした誘導で、すぐに引っかってしまった二人。
彼らが、今まで誰にも疑われずに安藤に何かできるとは――到底思えなかった。
「……」
修介と香島が話をする中、姫乃は――ただ沈んだ表情のまま、口を閉ざしている。
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