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放課後。校舎の屋上。
風が強い。
「……ここなら大丈夫」
北条 燕が言う。
「周囲の干渉も少ない」
ソウヤは黙って立っている。
(……まだ、揺れてる)
空気の歪み。
昨日よりはマシ。
でも、消えてはいない。
「まず確認する」
燕が振り返る。
「あなたの能力は“暴走状態”にある」
「……分かってる」
「分かってないわ」
即答。
「制御できていない能力は“事故”じゃない」
一拍。
「“災害”よ」
その言葉。
重い。
柚季が壁にもたれて言う。
「同意見ね」
「昨日のあれ、普通に街一個消せるレベル」
「やめろって……」
タジが苦笑する。
「いやでもマジでそうなんだよなこれ」
結衣は何も言わない。
ただ、ソウヤを見ている。
「……で」
ソウヤが口を開く。
「どうすればいい」
燕は少しだけ間を置く。
「“境界”を作る」
「境界……?」
「能力が現実に干渉する“ライン”」
一歩近づく。
「それを自覚しなさい」
「……分かんねえよ」
正直な言葉。
燕は頷く。
「だからやるの」
「実践で」
その瞬間。
「うお来た実戦!」
タジがテンション上がる。
「今日は何、バトル回?修行回?」
「うるさい」
柚季が一蹴。
「ソウヤ」
燕が呼ぶ。
「攻撃してみなさい」
「……は?」
「本気で」
空気が変わる。
「いやいやいや無理無理!」
タジが止めに入る。
「昨日の見たろ!?シャレにならんて!」
「だからやるの」
燕は一歩も引かない。
「抑える側がいれば、成立する」
そう言って。
一歩前に出る。
「来なさい」
沈黙。
ソウヤは手を見る。
震えている。
(また、壊すのか)
結衣の声。
「……ソウヤ」
振り返る。
「大丈夫」
優しい笑顔。
「私たち、いるから」
息を吐く。
「……分かった」
覚悟。
ソウヤが構える。
空気が歪む。
ピシッ
見える。
“壊れるライン”。
「……行くぞ」
一歩。
踏み出す。
瞬間。
ドンッ
空間が削れる。
直線的な破壊。
燕に向かう。
#ファンタジー
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だが。
止まる。
“見えない壁”に。
「……!」
燕の周囲。
空気が固定されている。
「これが境界」
静かな声。
「ここから先には来ない」
「……っ」
ソウヤの力が押し込む。
空間が軋む。
「まだよ」
燕が言う。
「自分で止めなさい」
(止める……?)
できるのか。
(やめろ)
心の中で叫ぶ。
ドクン
あの“声”が来る前に。
「……止まれ!!」
ピタッ
空間の歪みが、止まる。
沈黙。
「……今の」
タジが震える。
「止めた……?」
ソウヤの呼吸が荒い。
でも。
暴走していない。
「……できた」
小さく呟く。
結衣が笑う。
「すごいよ、ソウヤ」
柚季も腕を組んだまま言う。
「……やるじゃない」
燕は静かに頷く。
「第一段階はクリアね」
「第一段階……?」
「ここからが本番よ」
一拍。
「あなたは一人じゃ扱えない」
ソウヤを見る。
まっすぐに。
「場所が必要」
「……場所?」
「同じ能力者が集まる場所」
風が吹く。
「そこに行きなさい」
一瞬だけ。
柚季と結衣が目を合わせる。
「……そうね」
柚季が言う。
「ちょうどいいタイミングかも」
タジがニヤける。
「来たな……」
「拠点イベント」
ソウヤが眉をひそめる。
「なんだそれ」
結衣が少しだけ笑う。
「……秘密基地、みたいなところ」
夕焼け。
影が伸びる。
ソウヤの前に。
新しい“世界”が開き始める。