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この考えが真実なら俺が今会うべきなのは、彼女だ。
すぐにあの場所へ向かった。
いつもならいない時間帯なのに、彼女はいた。
「思い出したの?」
ただ一言、彼女はそう言った。
『完全には思い出してない。でも、もしかして、Y君は俺のこと、なのか…?』
「やっと話すことができるね。
そう、日記の中で出てくるY君は君のこと。
それで、君がずっと疑問に思ってるスマホのキーホルダーに書いてあるIは日記のあの子。
彼女の名前は郁。
榊 郁《さかき いく》
これから伝える真実は貴方にとっては辛い話かもしれない。
でも、少しずつでもいいからうけとめてほしい。
それがあの子の、郁のためになると思うから。
あの日、あなたが事故に会った時、郁があなたをかばったの。
即死だった。
でもね、はじめから郁は、あなたと会うのはあれで最後にするつもりだったの。
そんな日に事故にあった。
郁の誕生日を迎えて暫く経った頃、妹が亡くなったの。
あの子、最後まで姉である郁を嫌ってたわ。
妹が亡くなって、両親は郁を妹にするみたいに可愛がった。
両親にとって郁は出来のいい妹の代わりだった。
妹の死を乗り越えられなかった両親は、郁を郁として見なかった。
郁の心を壊すには十分すぎる出来事だった。
自分の心が壊れ、自分が自分じゃなくなると思った郁は、君に別れを告げることにした。
でも、最後に君とどうしても一緒に行きたい所があった。
まぁ、行く前に亡くなってしまったけどね…
心残りだったと思うよ。
君をそこに連れて行くの、楽しみにしてたから。 」
『それは、どこなの?』
「君は空が好きなんだってね。」
どうして彼女がそれを知っているのか。
「郁が言ってた。
郁の連れていきたかった場所は、空がとても綺麗に見える所でね。
そこに一緒に行きたいってずっと言ってた。
叶えてあげたかった。
叶えてほしかった。
いつまでも辛いままの人生でいて欲しくなかった。
君と会って幸せそうに君の話をするようになった。
あんなに幸せな笑顔、久しぶりに見た。
このまま、幸せになってくれると思ったのに…っ」
彼女は涙ながらに話した。
彼女が日記をつけ始めた本当の理由を。