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放課後、俺は体育館裏で部活の準備をしていた。ボールを片付けていると、ふいに声がした。

「佐倉くん!」

振り向くと、そこには神山胡々が立っていた。少し息を切らしている。どうやら走ってきたらしい。

「お前、なんでここに?」

「えっと……佐倉くん、ボール落としたよ。」

そう言って胡々は俺にボールを差し出す。その手が震えているのに気づいた。近くで見ると、胡々の顔はほんのり赤い。

大丈夫なのか??

「ありがとう……って、お前、顔真っ赤だぞ。」

俺がそう言うと、胡々は慌てて顔を手で隠した。

「だ、だって急に走ったからっ……!」

その仕草がなんだか可愛くて、思わず笑ってしまった。

「そんな無理すんなよ。ありがとな。」

俺がボールを受け取ると、胡々は小さく頷いて走り去っていった。その後ろ姿を見送りながら、俺の胸はまた妙な鼓動を刻んでいた。…かわいい。


ある日の帰り道、急に降り出した雨に俺は困っていた。傘を持ってない。仕方なく近くのバス停で雨宿りをしていると、隣に誰かが駆け込んできた。

「佐倉くん!」

また胡々だった。どうしてこんなタイミングで……。

「お前も傘ないのかよ。」

「うん。急に降ってきたから。」

胡々は俺の隣で小さく笑った。その笑顔に、また胸がキュッとなる。

「……俺、もう濡れるの慣れてるし。お前、傘借りていいぞ。」

「えっ、でも……」

胡々が心配そうな顔をする。俺は無理やり笑顔を作って言った。

「大丈夫だって。お前が濡れるよりマシだろ。」

胡々は少しの間黙っていたが、やがて小さな声で言った。

「……じゃあ、佐倉くん、一緒に入ろうよ。」

「は?」

「だって、一人で濡れるのも嫌でしょ?」

俺は一瞬何も言えなくなった。胡々は傘を開き、俺の肩に差し出した。

「ほら、早く。」

「……仕方ねえな。」

俺は傘の中に入った。近い。胡々の顔が近い。雨音が二人の静寂を包み込む中、俺は自分の心臓の音が聞こえないかと心配になるくらいだった。

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君はリボンが似合う

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