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岩国
その他青城メンバーもたまーにでてきます
岩国めちゃいいのになさすぎて悲しくなって書いてしまった衝動書き
岩泉side
「岩ちゃんってさ〜」
さぁこれから部活だ、というときに、俺らしかいないのを確認して、及川が口を開いた。
「あ?んだよ」
「国見ちゃんと付き合ってんの?」
まるで、それが普通であるかのように、及川はさらっと言った。
「…は?んなわけねぇだろ」
そう、付き合っているわけがないのだ。
…俺からすれば付き合えるわけがない、だが。
「でも、好きでしょ?国見ちゃんのこと」
また、普通のことのように言うので、一発殴ろうかと思ったが、それはそれでかなり怪しいのでやめておいた。感謝しろクソ川。
「んまぁ、一応かわいい後輩だしな」
「そういうことじゃなくて〜…」
何か言いたそうなのも、それがなんなのかも分かったが、平然を装うのに必死でそんなの拾ってる場合じゃない。
「ほら、んなことよりさっさと部活始めんぞ、ウシワカぶっ倒すんだろ」
「ついでにトビオもね!」
「ん、なら早くすっぞ」
「は〜い」
慣れてんな、部活に連れ戻してくれてありがてぇ、というような松川と花巻の視線を感じたので、それに親指を立てて部活に戻った。
俺は国見英が好きだ。
どこが好きかと言われればすぐにでてくるのが顔だとかそんなことはないとは言いきれないが、速攻で顔!と叫んでしまう及川に比べればマシなことは言えるだろう。
でもかわいいし、好きだし、あの顔。
好きに理由なんていらない、そんな言葉を今まで信じてきたことはあまりなかったが、国見に恋というものをして、それもなんとなくわかった気がした。
「あれ?金田一、国見ちゃん知らない?」
「え?あ、そういえばあいつ遅れるって言ってましたけど…それにしても遅いですね」
確かに今日はいなかった。
部活がめんどくさいといつも言っている割には、いつもきちんと来ているのに。
「俺ちょっと探してくるわ」
及川は今日調子がいいし、他のやつに探させてもかわいそうだし…なにより俺がいやなだけなんだが…なんて考えながらそれだけ言って、俺は体育館を出た。
「え!?あ、うん、わかった…って早くない?」
「最近いい感じですからね〜」
「あ、やっぱ金田一もそう思うよね!?」
及川と金田一のそんな会話は、俺の耳には入ってこなかった。
_
「おーい、国見ー?」
「あ、いわ、いずみさ、ん…」
近くに国見を見つけたが、俺と目が合うと、驚いた表情をして逃げて言ってしまった。
俺は必死で追いかけた。
ただ、国見が体力で俺にかなうはずもなく、あっけなく捕まえてしまった。
「ほら、もう逃げられねぇか、ら…」
捕まえた、と咄嗟に腕を掴んだまま国見の方を見ると、顔を赤くしてあわあわしていた。
走ったからだろうか。
「国見、顔赤いぞ?大丈夫か?」
「いえ、大丈夫、です、」
先程よりはましになってきたらしい。
「そうか、ならいい」
「…はい」
「…部活なんでこないんだ?」
いきなり踏み込みすぎた、とは思ったが、いや、でも、はっきりいった方が…と自分に言い聞かせた。
「岩泉さん見ると、なんか集中できなくて…」
「は、?」
答えが予想外すぎて、すっとんきょうな声が出た。
「わ、わかんないんです、なんか、気づいちゃったらなんもできなくて、わかんなくて…集中出来なくて迷惑かけるくらいなら、休んだ方がいいかなって…」
そう言い終わった瞬間、国見の顔がほかほかと赤くなって、同時に俺の体温が上がる感覚がした。
「…俺も国見みると集中出来なくなる」
「へ、?あ、え?、あの、え、え、」
「あのな、別に休むなとは言ってねぇけど、無断欠席はだめだ、みんな心配してたし、だからこうやって俺が探しに来てんだ」
「…はい、」
俺が説教チックなことを言っても、国見の頬は淡く染まり、いつもはあがらない口角は少し上がっていた。
「うし、じゃあもどるか」
「…はい、ご迷惑おかけしました」
「おう、これからも頼れよ」
「…!はい、!」
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「国見回収してきたぞー」
「お、岩ちゃんないすー!」
サーブの練習をしていた及川がかけてきてそう言った。
こういう所は主将っぽいのにな。
「おー、結構うざめの先生に捕まってたからな、取り返してきた」
軽い嘘をついて、誤魔化した。
すまん、みんな。
「岩泉さんさすがです!」
「まぁな、ありがとよ」
「よーっし!国見ちゃんもそろったことだし、あとちょっとだけど!部活さいかーい!」
今までも部活してたはずなのに、そういう言い方をするのはすげえなと思う。1人かけてたら部活じゃない、みたいな。俺もだけど。
そんな掛け声のあとに、部員が全員で返事をした。
「岩泉さん、ありがとうございます」
皆が練習に戻っているとき、国見が横で小さく呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「おう」
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