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フェリーが到着し、観光客に混ざって上陸する一行。
土産屋には「鬼まんじゅう」や「赤鬼せんべい」、果ては「インスタ映え!角カチューシャ」まで売られていた。
「完全に観光地化してるな……」
「お土産で資金回収できるじゃん」
「グッズは推しの象徴です」
歩き進むと、やがて観光客が足を踏み入れない区域へ。
そこには、テーマパーク的な明るさとは無縁の黒い岩山がそびえていた。
犬のケンケンが鼻をひくつかせる。
「……匂う。人間じゃない匂いだ」
「おい、マジで鬼いるのかよ……」
とそのとき。
ガラガラガラガラ、、、、。
岩陰から現れたのは、3メートルはあろうかという赤鬼だった。
観光客用の着ぐるみではない。
本物の鬼だ。
「……やべえ、本当にいた」
「は、配信開始! 配信映え最高!」
「いや、撮ってる場合か!」
鬼は唸り声を上げ、一行に迫ってくる。