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君の家は金はあっただろうが、本当の愛情は誰一人かけてもらっていないなど「君は本当はこういう人間なんだ」と決めつける言い方をする
あまりにもきっぱり断言されるので、本当に私自身はそんな人間だと繰り返されると、自分の認識は間違っているかもと疑いはじめて自信をなくしてしまう
彼が癇癪を起すのが何より恐ろしかった、時には私を壁側に追い詰め面と向かって激しくなじられた
俊哉に怒鳴られると、頭の中が真っ白になって心臓が恐怖で早鐘を打つ、体が硬直しショートするような感覚に陥り、いつか手を挙げられるのじゃないかとビクビクする
やがて私は俊哉の機嫌をとって、小さな嘘をつくことを覚えた
次第におべっかまで使い始め、あなたは誰よりも頭が良い、上司よりも優秀なエリートよりも、私の家族よりもなどと彼をおだてたりした
あきらかに彼が間違っている時でさえ、あなたが正しいと言い続けた
そこまでやっても彼は決して満足する様子はなかった
ある日彼が小さな小冊子を持って帰ってきた、珍しく穏やかでニコニコしている彼を見ると、私もとても嬉しくなった
「職場の同僚からもらった小冊子なんだけど、とても良い事が書いてあってね、君も読むといいよ 」
読んでみると神様がどうとか、輪廻転生がどうとか書いてあった
難しくてわからない所もあったけど、何か一種の自己啓発本のような感じもあった、でも私にはこの小冊子の良さがわからなかった