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静かなこの空間に、僕の声が響く。見たくもない現実が押し寄せてくるようだった。
そんな現実から目を背けるために、壁に凭れ掛る。
そして僕は、また一つ 大きな溜息をつく。あの人を…、大切な人を亡くしてしまった絶望を込めて…。
ある日、僕は恋人と出掛けた。
恋人はちょっと遠出しよう、といって海辺に僕を連れていった。
夕暮れ時だったから、僕がずっと見惚れていると恋人は少し嫉妬した。
夕焼けより俺を見てよ、って。
いつもは格好良いのに、その時だけ可愛いって思った。
幸せだった。この先も続いていくんだと思ってた。いや、そう思い込んでた。
でも、突然、恋人は死んだ。
僕を庇って死んでしまった。
まだやりたいことだってあったのに。ずっと一緒にいるって言ってくれたのに。
…それから僕は、欠格品になった。
心に穴が開いてしまった、欠格品に。
壁から離れ、台所へと向かう。
床に放り出された袋には、ぺいんとさん達が買ってきた栄養補助食品や、サプリなどが入っていた。
袋の中からゼリーを一つ取り出して、開ける。
口まで運んだ辺りで手が止まった。食べれない、食べたくない、と思ってしまったから。
蓋を閉めて、冷蔵庫に入れた。
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