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俺のクラスは男女ともに仲が良く、行事なんかにも協力して取り組める。自分で言うのもなんだが結構いいクラスだと思っている。まぁ仲がいいのはすごくいいことだとは思うのだが、、あれは如何なものか。
「なぁせんせー、こっち来てや」
「うわっ、急に引っ張ったら危ないやろ!」
「俺が支えてあげるから大丈夫やし」
「まったく、、」
あそこにいるのは担任のアニメハ先生とクラスメイトのゆきや。あのふたりが仲がいいのは周知の事実だったのだが最近はあまりにも距離が近い。今だってゆきやがアニメハ先生の腕を引っ張って自分の膝の上に座らせている。アニメハ先生も危ないだろ、と注意しただけでさも当然のように座っている。え、これって俺がおかしいのかな??これが普通なのか??自分では判断できなくなり友人に尋ねる。
「ねぇ、あれってどう思う?」
「え?仲良いなーって思うけど」
「いやそれはそうなんだけどさ、あまりにも距離近くないか?」
「あーまぁ確かに近いかもな、でもあのふたり前からあんな感じじゃなかったっけ?」
「違うんだよ!最近さらになの!」
気にしすぎなんじゃね?と言われてしまった。俺がそんなに気にすることではないのかも知んないけどさぁ!気になるじゃんあんなん。なんかあんのかなあのふたり、とゆきやたちの方を見る。咄嗟に口を塞いで、出そうになった声を何とか抑える。向かい合うようにしてアニメハ先生はゆきやの膝の上に座っている。しかもその上ゆきやはアニメハ先生の腰に腕を回していやがる。やっぱりこれは俺の気にしすぎなんかじゃない。あのふたりは絶対に何かある!!
帰りのHRが終わり、帰路に着いたところで教室に課題を忘れてしまったことに気がついた。
「やっべ俺忘れ物したわ、先帰ってて」
「おっけー」
一緒に帰っていた友人を待たせるのも悪いので先に帰っていてもらうことにした。校庭にサッカー部の友人を見つけ、少し立ち話をしてから教室へと向かった。教室に着き、扉に手をかけたところで中から声がするのに気がついた。耳をすませてみると、聞き覚えのある声だった。
「せんせーが学校でこんなことしていいん?」
「んあっ、やら、ごえんなさっ、♡」
俺だって健全な男子高校生だもん!普段からは想像もできないアニメハ先生の甘い声。ほんの好奇心から扉の隙間を覗いてしまった。昼間のように膝の上に乗ったアニメハ先生をゆきやが揺さぶる。段々と切羽詰まるアニメハ先生の声にごくりと唾を飲む。その途端ゆきやと目が合った。ゆきやは慌てる様子もなく、にんまりと笑って見せた。悪寒が走り、全身が粟立つ。俺は立ち上がり、走って校舎を出た。
「よっ、どうしたんだよそんな慌てて」
「いやちょっとな、、」
全速力で校舎から飛び出してきた俺を見て何事かと友人が聞いてきたが答える訳にはいかない。適当にはぐらかして逃げる。
「はぁ、、俺死ぬかもなぁ」
家に着いてからもさっきのことが頭から離れない。明日学校に行くのが怖すぎる。護身用ナイフとか持っていった方がいいかな!?
朝起きてから、真っ先に体温を測った。36度4分。うーむ健康。
「体調悪いんで休んでいいっすか、、?」
「熱は?」
「……行ってきます」
くそぉ、、親は熱でしか体調不良を認めてくれないんだよな。めっちゃ胃が痛いってのに。教室に着き、友人と挨拶を交わす。少ししてゆきやが登校してきた。別にしょっちゅう話す訳でもないし普段ならわざわざ席の遠い俺のところまで来ないのに今日は俺の席までやってきた。
「おはよ」
「オハヨウゴザイマス」
「あのさぁ、昨日見たやんな?」
「何の事でしょうか!」
「…まぁ別にええけど、絶対誰にも言わんといてな?言ったら何するかわからんから」
「承知致しましたぁ!口が裂けても申しませぬ!」
ピシッと敬礼する俺を友人は変なものを見るような目で見てきたけれどそんなの今はどうだっていい。だって何するか分からないって絶対殺られるやつじゃん!
「お前ゆきやに何したの、、」
「言ったら死ぬから言えない」
しばらくの間アニメハ先生の顔が見れなかった。