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夢の中。
志乃はまたあの鏡の中にいた。
鏡の世界は、まるで時間が止まったように静かで、白かった。
その中央に、**少年の姿をした“影の圭吾”**が立っていた。
彼の目は笑っていた。
でも――その目の奥には、覚悟の色があった。
「……きみに、会えて本当によかったよ。
ぼくは、ずっと“ここ”に置き去りだったから」
志乃は首を横に振った。
涙が頬を伝い始めていた。
「私……もっと、早く会いたかった。
あなたがどれだけ寂しかったか、想像もできなかった……!」
影の圭吾は、少し困ったように笑った。
「だいじょうぶ。
きみが、僕を“思い出して”くれた。
それだけで……もう、満たされてる」
「でも、あなた……消えようとしてる。でしょ?」
「うん」
圭吾(本体)は、志乃を好きになった。
彼女の手をとって、これから一緒に生きようとしている。
だからこそ――“影の自分”はもう、役目を終える。
「ぼくはね、“存在の隙間”みたいなものだった。
圭吾の痛みと、空白と、願いが形になった。
でも、きみが圭吾を好きになってくれたから……
きっと、もう必要じゃないんだ」
志乃は、泣きながら叫ぶように言った。
「そんなの、私が決める! あなたを必要とするかどうかなんて、
私が決めたい……!」
影の圭吾は、ふと立ち止まり、
志乃の目をじっと見た。
「……そうだね。じゃあ、最後に教えて」
「きみが、最初に好きになったのは――“だれ”?」
志乃は言葉を詰まらせた。
あの夏。
鏡の中の少年に出会ったとき。
ひとりきりで、寂しげに笑っていたあの瞳に。
幼い心のどこかが、強く惹かれた。
それは初恋だったのかもしれない。
そして今――
彼の“本体”である高梨圭吾に惹かれているのも、確かだった。
志乃は泣きながら、それでも言った。
「私は……あのときのあなたが、好きだった」
影の圭吾は、やさしく笑った。
まるで、誰かの役割をすべて終えたように。
「ありがとう」
その瞬間、志乃の手の中から、
温かい光がふわりと浮かび上がった。
小さな、柔らかい光。
少年の魂のようなその光が、ゆっくりと空へ――
(やだ、いかないで)
志乃がそう願ったとき。
「――まだ、間に合うかもしれない」
現実の中で、圭吾が目を覚まし、志乃の頬に手を添えていた。
「俺が、ちゃんと抱きしめる。
影ごと、記憶ごと……あのときの“君”も、全部」
志乃はその手に包まれながら、ぽつりと言った。
「わたしね……兄がいたの。陽一っていうの。
……でも、ある日、鏡の中に消えたの」
圭吾の表情が変わる。
「“納戸の中”で?」
志乃は頷いた。
「今も、夢に出てくる。
“ごめんな”って謝りながら、鏡の中に閉じ込められた兄が――
ずっと、泣いてるの」
圭吾はそっと彼女を抱きしめた。
彼女の心の中にも、誰かを置き去りにした後悔が眠っていた。
ふたりの腕の中には、
失ったもの、忘れたもの、消えそうなもの……
全部を包み込むような温度があった。
影の圭吾は、遠くで微笑んでいた。
彼の輪郭は、すこしずつ薄くなっていく。
でもそれは、悲しい消滅じゃなかった。
――それは、“誰かに愛された存在”が最後に手にする、救いだった。
やばい、、、書いてて恥ずかしくなってきた、、、、。えっ!?すごいねお師匠様達!!
どゆこと!?ありきたり文章でしかかけないんだけど、、、。
頑張りたいけど頑張れないよぉ(?)