※この作品は二次創作です
本人様と一切関係ございません
口調が違う点が多々あります
BL要素があります。御注意ください
「あ、あー」
彼は暗い俺の部屋で発声練習のようにあ、あ、と声を出していた
「らだオ?声出る?」
「うん、ありがとうマンゴー」
「いえいえ、俺はらだオの嫁だからネ」
そう言って彼を後ろから抱きしめた
そうすると彼は嬉しそうに笑いながら俺の腕を掴む
あァ、幸せダナ〜
嬉しすぎてつい後ろのしっぽを動かしてしまう
「マンゴー…」
少し震えた声を出して彼は俺の名前を呼ぶ
それすら愛おしくて可愛くてつい抱きしめる力を強くしてしまう
「どしたノ?らだオ」
自分でもびっくりするほど甘ったるい声が出る
「オレの体が」
彼の声がかくつく
まるでロボットのように
それで察してしまった
あぁ、これもシッパイか
「ごめんネらだお」
「マンゴー」
不安そうに泣く彼の首を切る
ポトッと落ちる音がしたが彼の首から血は流れない
「らだお」
俺の部屋には虚しく泣き声が響くだけだった
やっぱり、らだオは俺の手には入らないんだネ
どんなに俺が足掻いても俺のものにはなってくれない
いつもいつも誰かをたらしこんで引き付けて、
そんなに人に好かれてどうするの?ってぐらい好かれて
みんなに優しくて
その優しさが辛い…
言葉に表せないこの感情をどうすればいいノ?
これは日本語でなんて言うの?
教えてよ、らだオ
彼だったものをどれだけ抱きしめても答えてくれない
いや、元々らだオじゃない
らだオが手に入らないからって、とある筋を辿って勝手に俺が作ったんだ
このらだおはロボットだ
俺がプログラムして作った…
「らだお…」
寂しいよ、側にいてよ、俺から離れないでよ、俺だけを見ててよ
そんな言葉がぐるぐる渦巻いて気持ちが悪い
ラだお、俺こんなに苦しんでるんダヨ?
ちょっとぐらい俺の事思っても、いいんじゃないかな
子供のように泣き叫ぼうとした時部屋に電話の音が鳴り響く
誰だよ、殺す
そう思ってスマホを手に取ると名前を見た瞬間すぐ取ってしまった
「あ、マンゴー?」
「うん、そうだよラだお、どしたノ?」
「今ひまー?」
「暇!」
「ちょっと最近体調悪そうだからどうしたのかなって聞きたくてさ」
誰にも気づかれてなかったのに
咄嗟に思った言葉がそれだった
思わず笑ってしまう
「マンゴー?なんか俺変なこと言ったっけ?」
俺の笑いにつられたのか彼も少し笑っているような声が聞こえる
やっぱりらだオは特別だ
俺を見てくれてる
それがわかって頬が緩む
「最近困ったことがあってー」
「ほほーん?」
少し興味深そうな声で相槌を打たれる
彼の声には緩急がないから感情が乗っていないように聞こえるがこれは俺の話に興味があるんだ
「お気に入りの子がいるんだけどその子がみんなに人気者過ぎてちょっと寂しい」
「え〜俺そーゆう恋愛系わかんねー」
うん知ってるよ
らだオ苦手そうだもんね
そんなところも好きだよ
そういう気持ちをグッとこらえる
「もう30歳なのに〜?」
「はぁ?うるさいでーす 」
ケラケラと笑っていると彼がそんなこと言うともう切るよー?!と怒ってしまった
「あぁ、ごめんごめん 」
「マンゴーはその子のこと本気で好きなの?」
「本気本気、その子がいるなら俺何もいらないヨ」
「なら、たくさんアプローチしてみるとか?」
してるよらだお
この相談してるのもお前だけ
気づけよ
「うん、そうしてみる。ありがとラだお」
そんな言葉を抑えて何も無かったかのようにそう答える
「頑張れよーまたあしたな!」
彼の言葉を最後に電話は切られた
「アプローチだってしてるヨ」
誰もいない部屋にぼそっとそんな言葉がこぼれた
どうしたら、俺だけを…
ふとこんなことを思ってしまった
みんな消えたら俺だけを見てくれル?
俺だけのものになる?
決行するのは簡単だ
俺が全員殺せばいい
そーゆうのは慣れてるンだ
だけどラだおはそれで幸せになるのかナ
きっとならないよね
成瀬とかと話したいよネ
なら、俺がずっと耐えていた方がらだオの幸せに繋がル
そもそも俺みたいなやつが憧れていい存在じゃなかったんダ
国籍も違うのに性別は同じだし
逆だったら良かったのに
国籍も同じデ性別が違ったらもっと俺を見てくれたのかな
ふと胸の膨らみを感じる
「こんなの、偽物だ」
俺はどうしても女にはなれない
一生男のままダ
そう思うとどうしようもなく辛い
もし、来世があるなら次はもっとらだオの身近な存在になりたイ
来世に願うしかないのかな
来世なら…
部屋の隅で蹲ってそんなことを考えているとまた電話がなる
次から次へとなんだよ、いつもはみんなかけてこないクセに
緊急だとやばいから一応トルカ
「モシモシ」
「お、かかった」
「…モンディどしたの?」
「いや、お前がどうしたんだヨ、最近エイムも良くないし検挙率も悪いダロ」
「なんかあったのか?」
こいつにならいいか
犯罪者だしこいつが他のやつに言ってもラだおには届かない噂になるだろう
「好きな子がーいるんだけド、俺を見てくれないノ」
「あーそんなこと」
「俺には重大なことなんダヨ。今でもあの人が他の人と話してると思うとそいつ殺しちゃうほど嫌い」
上手く日本語が話せない
こいつの前だから日本語じゃなくてもいいかもしれないけど今は切り替えが上手くいかない
もーほんとダメダメだ
「それ、日本語で嫉妬って言うんだぞ」
「シット…? 」
そうなのか
どうせ教えて貰うならラだおに教えて欲しかったな
なんて思ってしまう
「そんなに嫉妬してるならみんな殺せヨ〜」
「殺したらあの人が幸せじゃないじゃん!」
「お前が幸せにしろヨ」
「俺じゃ無理だよ」
「できるできる。お前強いじゃん」
「メンタルケアとか出来ないから俺には…」
「うじうじめんどくせーナ!このまま苦しんでもいいならそれでいいんじゃナイ?」
もーおれしーらねと言って彼は強制的に電話を切った
なんだよ、お前がかけてきたくせに
このまま苦しんで、か
それは嫌だな
俺だって幸せになりたいヨ
ラだおと一緒に暮らしたい
なら、やることはひとつだよな
ゴメンねらだお
だけど俺がんばるカラ
俺がガンバって幸せにするから
そう決意したとある夜の日だった
とある日夜の街を歩いているといきなり後ろから銃声がした
振り返ってみると猫の被り物をした彼女が銃を持ちながら俺に近ずいてくる
これは直感だがやばい
思わず冷や汗が流れる
「なるせぇ」
仮面ごしでも分かるほど少し笑い声を含みながら俺の名前を呼ぶ
「何の真似だ?マンゴー」
「俺のために、死んで?」
彼女はそう言った瞬間銃を構える
やっばい!
彼女が打つ前に裏路地に身を隠す
やばいやばいやばい
あれは本気だ
俺を殺そうとしてる
でもなんで?
とうとう闇堕ちしたか?
そう考えながらも必死に足を動かす
それでも後ろから彼女の足音は聞こえる
早いな?!おい!
「なんで殺そうとする!」
「ン?」
「いや、なんでだよ?!俺たち仲間だろ?」
「うん、仲間だヨ。仲間だから協力してネ」
ダメだ話が通じない
俺はこんなに呼吸が荒いのに彼女はきっと汗ひとつかいてないんだろうな
鍛え方が違う
その言葉がピッタリだ
幸いにも俺は銃を持っている
裏路地は俺の方が詳しいだろ
絶対逃げきれないところに連れ込んで、潰す!
俺は警察だ
簡単に人は殺さねー
そう思って振り返り彼女に向かって銃を打つ
路地裏に銃声が響き渡った
「マンゴー…?」
「惜しかったねーなるせ。今まででいちばん良かったヨ〜」
いつもの訓練の時のそうにそう告げる彼女を見て分かってしまった
あんだけ打ったのに当たったのは肩だけ
しかもたったのかすり傷だ
俺はこいつには勝てない
分かっていたはずなのにこの状況では圧倒的に絶望感が増してしまう
逃げなきゃ!
また走り出そうとした瞬間足に痛みが走る
「ァ」
撃たれた
「なるせ、ありがとナ」
彼女がゆっくり近ずいてくる
「あはは、どういたしまして」
「お前のおかげでラだおの笑顔たくさん見れたヨ」
らだお?
なんでこんな時にらだおなんだ
珍しく彼女は猫の被り物を取り俺を見つめる
その目には嬉しさに満ちていた
「まさか」
「お前らだおのこと好きなのか…?」
「うん、そうだよ。やっぱり顔見られたらバレるね〜」
恥ずかし恥ずかしと言いながらまた被り物をつける
本当なら笑っていじれるけど今はそんなことできる状況じゃない
らだおのためにこんなことを?
彼はこんなことを望むのか
いやきっと違う
足の痛みに耐えながら頭を回転させる
そしてひとつの結論にいたり着いた
らだおへの独占欲でこんなことに走ったのか?
そうわかった瞬間一気に鳥肌が立った
「じゃあね成瀬」
彼女は俺の胸に銃を突きつけたあとそう言って撃った
あまりの痛みに耐えきれなく俺の雄叫びのような叫び声なが喉から溢れ出る
そんな俺をほっておいてマンゴーは来た道を巻き戻っている
体いてぇ
アイツ容赦なさ過ぎないか?
笑いが込み上げてくる
らだおに電話しなきゃ…
そう思ってスマホを手に取り彼にかける
少し着信音がなって彼の声が聞こえた
「ぁ、らだお…」
「なるせ?!どうした?!」
珍しく彼の声は焦っていた
電話越しでわかるほど弱っているのか、今の俺
朦朧とする中でそれだけは理解出来た
「気をつけろ、マンゴーが、」
そう言ったタイミングで電話が切られる
いや、切ったのはらだおでも俺でもない
「しー、ダメだヨなるせ」
目の前で人差し指を口に近ずけて笑っている彼女だ
「まんごっ」
口を開いた瞬間手で口を塞がれる
「なるせ黙っといてネ」
彼女はスマホをいじりながらそう言う
そして少し嬉しそうな顔をして電話をかけた
「らだお!!なるせが!なるせが死んじゃう!どうしヨなるせが死んだら俺… 」
泣き真似をしながら彼は電話口にそう告げる
相手はらだおか…
「俺も1発食らってて避けたんだけど、犯人がなるせ路地裏に連れて行って攻撃できないんだよ!らだお助けて!!」
なるほど
銃弾を受けたのも全部わざとか
もはやあっぱれとしか言いようがない
ピッと電話が切れる音がした
「今度こそ本当にバイバイだネ。楽しかったよ」
「そーかよ」
「地獄で待ってるぜ」
「うん、満喫してから行くネ待ってて」
その言葉を最後に俺の意識は途切れた
「マンゴーマンゴー!」
彼の死骸を見て泣きながらラだおは俺の名前を呼ぶ
こんなことですら優越感に浸ってしまう
「犯人はどうしたの?」
「逃げられた。ゴメンねラだお。俺がいながら」
「いや、マンゴーは悪くないよ…」
そう言いながらも彼の目には明らかに生気がない
そんな彼を思わず抱きしめてしまった
「マンゴー…?」
「絶対俺が犯人捕まえる!だから安心してネ」
「…俺も頑張るから死ぬなよ」
そう言いながらも俺の存在を確かめるかのように抱きしめ返される
「うん、俺はらだオを置いては死なないよ」
仮面をつけててよかった
思わずニヤリと笑ってしまう
彼はロボットの時とは違って生暖かった
あァ、幸せダナ〜
思わず、後ろのしっぽを動かしてしまった
これはきっと悪い癖だ
_𝐞𝐧𝐝_
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