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寒い冬至の日
白い何かが冷たい毛布が床に敷き詰められたダンボールの中
壁は高く越えられそうにない
まだ老い先が長いと見てわかるその子を見つけた時は鳴く元気もないようだった
首輪は外されていて隣に置かれていた
夕方だがもう夜中の様に暗く騒がしい街の片隅に置いていくのを私は放っては置けなかった
震えているその体を抱き上げ急いで家へ帰った
家に着いても小さな体は振り絞ったような声で唸るばかり…
今朝捨てられたように見え体は汚れていてずっと手入れがされていないせいか爪が長かった
病院へ連れていきたいが近づけば素早く逃げ大人しくなる様子は見せなかった
でも少し元気がないように見えた
お腹が減っていると思い動物が食べても平気なものを調べ冷蔵庫の中を探った
運良く食べれるものが残っていた
そして初めて声をかけてみた
「ご飯だよ〜?」
少し驚きつつもやっと視線があった
黄色の目は宝石よりも輝いて見えた
ゆっくりと近付いてご飯を食べ始めた
美味しそうに食べていてとても可愛らしかった
これは大きな一歩だと嬉しくて仕方が無い
行けるんじゃないと期待を胸に添え私も近付いた
さっきの様に逃げず今はご飯を食べるのに夢中のようだ
食べ終わると警戒しながら私を見つめた
お皿を片付けようとキッチンに行ったら後ろから着いてきた
我が人生に一片の悔いなしとはこの事か
洗い終わって目を向けるとそこにはもう居なかった
リビングに戻っても居なかった
焦りつつ自分の部屋に行くとベッドの上に居た
今度はくつろいでいる所申し訳ないと思いながら抱き上げ動物病院に向かった
病院の椅子に座って待っているとまた見たことの無いところに連れていかれ動揺しているようだった
名前を呼ばれ指定の部屋に入る
幸い怪我も病気も無く健康だった
この子は女の子の子猫のようだ
帰りに色々買っていこうと思い必要な物をスマホのメモに書いておいた
その子猫をシロツメと名ずけた