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それでも涼は本当に分かりやすい。ジェスチャーも交えて体全体で表現するから、感情は容易に読み取れる。

「いやっ、俺は私情は挟みません。准さんが好きになった方なら応援するつもりです。あの加東という方がゲイでもノーマルでも、紳士の仮面を被ったド変態でも!」

騒がしいテンションもいつもと同じ。でも若干パニックに陥ってる。こんなに挙動不審な彼は初めてかもしれない。

一体どうしたんだろう。

「まぁまぁ、わかったから落ち着けよ。あの人が嫌いなんだろ。別にそんなんで怒ったりしないから」

「嫌いじゃありません! そうじゃなくて、きっ……気に入らないんです!」

それはほとんど嫌いに当てはまりそうなもんだけど。……気づいてないんだから、しょうがない奴だ。

「気に入らないか。じゃ、どこら辺が?」

「それは……っ」

前に屈んで、ゆっくり問い掛ける。けど涼の回答は不明瞭だった。


「俺も分かりませんけど……! でも、何か嫌なんです。大事なとこすっ飛ばして、あの人が下心だけで准さんにどうこうすんのかな、って思ったら……」


顔を赤くして、目を合わさない。


……なるほど。

すぐそっちの方向に考える所がマイナス百点なんだけど。

「つまり、心配してくれてんだな?」

これは、プラス二百点にでもしておこう。

「え!? ……いや、だから分かりませんって!」

そう否定しつつ、さらに真っ赤になる涼に笑いをこらえるのが大変だった。

酔いが覚めて意識がはっきりしてきた分、また頭痛が戻ってきたけど……それを彼に悟られないように、タオルを顔に被せてソファに倒れた。

「何で俺が、あの人を好きになったかっていうとな」

ぼんやりと、少しだけ記憶を辿って彼との出会いを思い出した。

「まだ入社したばっかの頃、仕事についてけなくて会社でぶっ倒れたことがあるんだよ。その時に助けてくれたのがあの人なんだ」

自分は元々病弱だった。

そのせいで子どもの時から周りの大人に迷惑をかけた。厄介者に見られてたこともある。

「俺のせいで周りに負担をかけた。一回や二回じゃないんだよ。正直もうクビかなって思ってたんだけど、休みをもらってまた復帰できた。後から知ったけど、加東さんが上に口添えしてくれてたんだ」

もちろん、仕事上の付き合いということは分かってる。でも。あくまで違う部署の新人を気にかけてくれただけ、ということも。でも。


「俺が今の職場でここまでやってこれたのはあの人のおかげだから。彼の存在は大きいんだ」




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