テラーノベル
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月島は、整頓されたクロの部屋のベッドの端に腰を下ろし、静かに溜め息をついた。
「……黒尾さん、僕たち今日、何しにここに来たんでしたっけ」
「何って……月島がうちに泊まるって言うから、部屋片付けて布団敷いて……」
台所から戻ってきた黒尾は、マグカップをふたつローテーブルに置くと、少し気まずそうに月島と絶妙な距離をとって座った。その視線はどこか泳いでおり、普段の余裕たっぷりな態度はどこにもない。
月島が期待していなかったと言えば嘘になる。わざわざ部活のオフ前日を選び、親にも許可を取り、着替えの入ったバッグを持ってここに来たのだ。月島なりの覚悟や意思表示は、ここに来るまでの行動で全て示していたつもりだった。
しかし、部屋についてからというもの、黒尾は徹底して「頼れる優しい先輩」を崩そうとしない。テレビのチャンネルを無意味に変えたり、やたらと飲み物を勧めてきたり、果ては勉強の進捗を聞いてきたりする始末だ。
「……僕、もう子供じゃないんですけど」
月島は立ち上がると、黒尾の前に歩み寄り、その前にひざまずくようにして視線を合わせた。黒尾の瞳が揺れる。
「月島、あのさ……お前がそういうつもりで来てくれたのは、すげー嬉しいよ。でもな、焦る必要ねぇだろ。大事にしたいんだよ、お前のこと」
真面目な顔で言葉を紡ぐ黒尾に、月島はついにイライラを隠すのをやめた。額に青筋が浮かぶのを感じながら、黒尾の胸元をぐいっと掴んで引き寄せる。
「大事にするとか、そういう格好良いセリフで逃げないでください。あと一歩踏み出す度胸もないなら、最初から部屋に上げないで欲しかったです」
挑むような月島の強い視線と、至近距離での強い言葉に、黒尾は一瞬息を呑んだ。そして、困ったように眉を下げて苦笑する。
「……お前なぁ、ホント可愛げねぇ言い方すんのな」
「可愛い反応が欲しかったなら、最初から別の人と付き合えばよかったでしょう」
月島が冷ややかに言い放った瞬間、掴んでいた胸元の手が、黒尾の大きな手に覆われた。
「逃げるわけねぇだろ。後戻りできなくなっても知らねぇぞ」
黒尾の瞳からいつもの曖昧な遠慮が消え、低い声が部屋に響く。月島は満足そうに口元をわずかに緩めると、「最初からそうしてください」と呟いて、自ら黒尾の首に腕を回した。
#ナチイタ王
我 的 我
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コメント
1件
読み終えたわ。月島の「僕、もう子供じゃないんですけど」からの流れ、めっちゃグッときた。黒尾の「大事にしたい」って優しさと、月島の「逃げないで」って真っ直ぐさが対照的で、二人の距離感がじわじわ縮まる感じがたまらん。最後の黒尾の「後戻りできなくなっても知らねぇぞ」でようやく本気出したのが熱い。続きが気になる〜🔥