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銀新書きたくなったので書きました。
風邪ひいてるのとか今までの作品にあった気がしますが、まあ、私の好きなシチュエーションなんで仕方がないことなのです。
では楽しんでお読みください。
万事屋の昼下がり。
外はやけに静かで、いつもみたいに依頼人の声もない。布団に横たわる銀時は、額に濡れタオルを乗せられ、ぐったりと天井を見つめていた。
「……チッ、情けねぇな。風邪なんてガキみてーなもん引くとか」
顔は熱で赤く、白い肌がほんのり火照っている。銀色の髪が額に張り付き、いつもの気だるげな目もどこか潤んでいた。
その傍らで、新八は静かにタオルを取り替える。
「無理するからですよ。甘いものばっかり食べて、夜更かししてジャンプ読んで……」
「うるせーな……ジャンプは命より重いんだよ……」
かすれた声で悪態をつきながら、銀時はちらりと新八を見る。
「なあ……俺の看病なんかより、依頼の方優先した方が良いんじゃねーの?」
ぶっきらぼうな言い方。けれど、その奥にほんの少しの遠慮が滲んでいる。
新八は一瞬きょとんとした後、いつもの調子で肩をすくめた。
「大丈夫ですよ。今日もいつもみたいに仕事来てませんから。僕も今日一日は一緒にいる予定です。」
数秒の沈黙。
「……そうかよ」
素っ気ない返事。でもその口元は、ほんのわずかに緩んでいた。
安心したのか、それとも別の理由か。銀時は目を閉じ、そのまま静かに眠りに落ちていく。
規則正しくなる寝息。 火照った頬。 熱のせいで少し赤くなった肌。 そして、わずかに開いた口。
(……)
新八は思わず息を呑んだ。
なんだか、簡単に奪えてしまいそうな_。
(な、何考えてるんだ僕は!? 銀さんが熱で苦しんでるのに!)
慌てて視線を逸らし、自分の頬が熱くなるのを感じる。銀さんの熱が移ったわけじゃない。完全に、自分のせいだ。
「……と、とりあえず水、用意しないと」
汗をかいたらすぐ拭いてあげられるように。 そう言い訳しながら立ち上がり、部屋を出ようとした、その時。
くい、と裾が引かれる。
「……え?」
振り返ると、半分だけ目を開けた銀時が、弱々しく新八の着物の裾を掴んでいた。
いつの間に起きていたのか。
「銀さん? 起きて――」
「お前、1日一緒じゃ無かったのか?」
掠れた声。 それなのに、妙に真っ直ぐで。
銀時の頬は、熱のせいなのかは分からないが、さっきより赤い。
不器用に視線を逸らしながらも、裾を握る手は離さない。
「……別に、いなくなったら困るとかじゃねーけど……」
明らかに困っている顔でそんなことを言うのだから、ずるい。
新八の胸がどくんと大きく鳴る。
「……はい」
小さく返事をして、そっと布団の横に座り直す。
握られたままの裾。 触れそうで触れない距離。
銀時は安心したように、再び目を閉じた。
「……ありがとな、新八」
ほとんど聞こえないくらいの声。
新八はそっと、銀時の額の汗を拭う。
(今は看病。僕は万事屋の一員なんだから)
そう自分に言い聞かせながらも、胸の奥で芽生えた感情を、完全に否定することはできなかった。
静かな部屋に、二人分の呼吸が重なる。
その距離は、熱よりもずっと甘く、優しかった。