「でも、さっきタクがサイサイのヘソだしがいいか、憧れるか言ってただろ?それはあるのかも。今日サイサイに会って感じたわ」
「どういうこと?」
「先週あの女、ピアス開けて来たんだよ。サイサイと同じように右に2個、左に1個」
「きもっ」
羅依がボソッと言うのでチラッと見る。
「いいのかな、香さん…私は全然いいんだけど」
「うん?才花、どうした?」
羅依が私をベンチプレスのベンチに座らせて、自分も並んで座る。
「就活中だと思うの。私なら全く気にならないけど、就活って同じ格好で歩いてるでしょ?そんな真っ只中に開けたら…ホールが安定するまで取れないのにいいのかなって…外資系とかなら大丈夫かな?」
「業種や社風によるだろうな」
「まあ、才花ちゃんは気にならないだろうね」
「なんかタク、意味深…」
「だって、その格好でも外に行けるだろ?」
「普通にこれで走ってる人いるでしょ?」
「日本人はあまりいないよ」
「……」
「才花は日本人なんて狭い括りで生きてねぇよ。タクの尺度で喋んな」
「羅依の勝ち。よし、出来たよ、サイサイ」
「ありがとうございます」
「それを見て、全部動きは分かる?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ、家ではそれをやって、ここには週2回」
「1回じゃなく2回?」
「競技復帰するなら3回って言うけど、今のところ2回。これで生活スポーツレベルで十分に何でも楽しめるところまでは半年の見込み。もちろんメニューはどんどん変わっていくよ。ゴールが変わっても対応するから、ボクとコミュニケーション取りながら進めていこう」
緒方先生の空いてる曜日と時間で私のトレーニング日は固定してもらって、帰りがけにひとつ質問をした。
「先生…もし、私がダンスを再開したら…えっと…あと10日ほどで膝は日常生活に支障がなくなるはずなんです」
「うん」
「そのあと、ダンスを再開したら…いえ、すみません。自分でも何が言いたいのかわからないです」
「才花、大丈夫だ」
羅依が私の頭を横から引き寄せる。
「体が動くと踊ってしまうかもしれないよな…才花だから」
「うん…」
「サイサイ、それはかまわないけど、あくまでも膝は日常生活レベルだよ?今だって、左膝に負荷がかからない動きで踊ってもかまわない。むしろ、トレーニングメニュー以外の柔らかい細かい動きは歓迎」
「今もダンス出来る…?」
「足が一本使えなくても、ボクたちより上手だと思うよ?」
私からすれば膝が使えないと踊れないけど…この先のことを少し考えてみようと思えた。
翌日から、私は先生の作ってくれたメニューに取り組み始める。
「それ、何?」
サイドレッグツイスト、バックエクステンション、レッグレイズ…
「羅依、イチイチ聞かないで。体幹トレーニングってこうして反動もつけずに地味なの。やってみたらどこに効くかわかるよ」
マシンのある部屋にヨガマットを敷いて、私がポーズを変える度に羅依が
‘それ、何?’
と聞くので邪魔だ。
「私は全部カウントして真剣にやってるの」
「悪い」
チュッ…
「余計に邪魔」
「悪い」
チュッ…
「ふざけないで」
「悪い。謝ったら、こうなった」
「……」
「才花、可愛い」
チュッ…唇にキスした羅依は、私の腹筋を一撫でして出て行った。
何なんだ………私はスマホで音楽を流しながらメニューを再開する。
そしてその翌日、その部屋の壁には多機能ミュージックプレーヤーが設置され、羅依が私のスマホに保存された音楽をそこから流せるようにしてくれた。
「全然音が違う。ありがとう、羅依」
「昨日邪魔したお詫びにな」
チュッ…
「全く反省を感じないけど?」
「愛を感じればいいだろ?」
「……」
「ん?」
チュッ…
「…愛だけしかないね」
「だろ?」
コメント
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あははは〜((´∀`*))ヶラヶラ チュッチュ、チュッチュ羅依カワイイ〜🫰🏻➰💕 その通りです!反省なんてねぇ〜愛さえ感じれられればね!愛だけしかないね🫲🏻❤️🔥🫱🏻 だろ?キャ─(*ᵒ̴̶̷͈᷄ᗨᵒ̴̶̷͈᷅)─🖤✨ 翌日に多機能ミュージックプレーヤーを才花ちゃんのために設置する、必要ならばすぐ行動に移せるのが羅依だよね✨きっと周りもみんなそうだと思う✨ 才花ちゃん肩だけでも頭だけでもリズム取ったり、地味な体幹トレーニングやろう〜٩(๑ᵒ̴̶̷͈̀ ᗜ ᵒ̴̶̷͈́)و ̑̑ ✧イェ~ィ .:*♬ にしてもよ、香サン、ピアスまでマネ子して…きもっ!だよ👎