テラーノベル
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数分後、春休みの学童クラブに行く千愛を外で見送る。
それから、いつも通り洗濯機を回しながら朝食の片づけをする
トーストだけの朝食の日なんてないから、朝の洗い物もそれなりにある。
水曜は、私がずっと通っている、公民館でのフラワーアレンジメント教室の日。
産後、千愛が幼稚園に通うまでの数年間は行けなかったけれど、それ以外はお腹が大きい時にもずっと通っていた。
月謝の高額なカルチャースクールでもなく、市民限定の営利目的でない公民館での教室は花材費のみでいいこと。
持ち帰った花が飾られた玄関は訪問客の目にとまるから、見栄えがいいこと。
そして何より、千愛がお花好きで、よく花の名前を聞いては覚えて得意げだから、夫も一緒に得意げというわけだ。
だからフラワーアレンジメント教室通いには、夫も文句を言わない。
そんな理由でも、楽しまなきゃ、やってられない。
専業主婦…同じことの繰り返しの毎日は、少々退屈で平凡。
でも、しっかりと稼いできて、娘の面倒をよくみてくれる夫と、活発で可愛い娘。
お稽古まで続けられて、恵まれた生活なのよ…わずか月一回の営みでレス気味なのを除けば…そう思っている。
子どもが生まれてからは、ほとんどの夫婦がこんなものだろうと想像して自分を納得させることで、自分が夫にとってもはや妻でなく家政婦であるという疑念を振り払う日々。
夫、宗人はデジタルサイネージを扱う会社の営業職。
デジタルサイネージと言えば、今どきの会社だけれど、元々は老舗看板屋だった会社で、夫は上司から
「昇級には結婚して家庭を持っているという社会的信頼も重要だ」
と聞いたことがあると言っていたから、古風な組織会社なのかもしれない。
それでも夫は真面目に働く会社員で、実家が自動車整備の自営業だった私は安定したサラリーマン家庭に憧れがあったから、幸せなはず。
少しずつ何かが足りないとも感じているけれど……それには気づかないふりで、今日も夕食のメニューを考える。
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