テラーノベル
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ピンポーン……
ある土曜日の15時、我が家のインターホンを押した主は想像が出来た。
朝から隣の家で、引っ越しの入居作業をしていたから。
「パパ、お隣さんよ…きっと…」
私は、ソファーに寝転んでスマホを操作する夫に声を掛けながらモニターに応答する。
「はい」
“朝から騒がしくてすみませんでした。隣へ越してきた中西と申します”
画面で確認出来るのは関西なまりのイケメンさんで、画面から切れているけれど女性と子どももいるようだった。
「お待ち下さい」
モニターをオフにして
「パパ、やっぱりお隣さんよ。出て」
と、もう一度夫に声を掛ける。
「うん、千愛もおいで。隣に引っ越して来た人に挨拶だ」
「隣、パパの友達?」
「じゃないな。パパたちも初めて挨拶する人」
録画のアニメを見ていた千愛と手を繋いで玄関に向かう夫。
そのすぐ後ろを歩きながら、私は手ぐしで肩にはつかない短い髪を整えた。
「お待たせしてすみません、こんにちは」
夫の、上下スウェットとは思えない爽やかさと滑舌の良さは、仕事で培われたものだろう。
新しい隣人に、数秒前まで寝転んでいたことを全く感じさせない声を掛けた夫につられたように千愛も
「こんにちは」
と、元気にドアの外に出る。
私も続いて出ると、42歳の私と夫よりも、10歳は若く見える夫婦と、ママに手を繋がれ片足で立ってグラグラとママを揺らす女の子が私達を見た。
恥ずかしそうな笑顔が可愛いわ。
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