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朝起きてから、頭が痛かった。大体、頭が痛くなる日というのは厄介ごとが起きる
「頭痛…?…ああ、今日は寝とけ」
道満も、このことを知っている。飯綱の勘の良さ由来の現象だ、というのが現状の明の見解だった。そう、明が異常に飯綱に対して診察を迫るのは、この頭痛に関連することを解明したくてたまらないのである
「…今日、仕事が、あったはずですが…」
「大丈夫じゃねえだろ、ソレ」
道満は、いつもの頭痛より酷いように見える
「おい、本当に大丈夫か?」
「は、い…」
明らかに覇気がない。そういえば、まだこちらにきてまもない頃、突然飯綱が頭を抑えて泣きついてきたことがあった。母さんたちが…。今でも覚えてる。悪夢でも見たかと思ったが、恐ろしいほどに背筋が凍るような気がした。とりあえず、何人か飯綱の家に向かわせると、マフィアがいた。なぜ、どうして。1つ原因があるとすれば、飯綱の母が元気になったことで、医者との繋がりをもったことに勘付かれたのだろう。幸い、突入される前だったので、なんなく全員消した(主に朱雀)。なんとなく、その時の表情と今の飯綱の表情が重なった
「仕事はいい、休め。なんも言ってこないってことは、何もわかんねえんだろ?」
「はい…」
「ほら。寝てろ」
道満の気遣いから自室に戻った飯綱だったが、落ち着かない
「あたまいてぇ…」
実際、かなり無理をしていた。なるべく表に出さないように振る舞っていたが、もう押さえる力もないほどにしんどかった
「…寝るか…」
そう言って、飯綱は目を閉じた。
「〜〜〜〜〜〜?」
「ーーーーーーーーーー!!!!」
「私は…お前を殺すために生きてきた!!勝つために生きてきた!!そのためなら…どんな犠牲だって」
「っっっっは!?、。…今のは…?」
道満、さん…?
「なんで…なんなんだよ…」
夢でみた道満の顔は、今からは想像み出来ないほど憎悪に、嫉妬、羨望、怒り。色々な黒い感情が混ざり合った顔だった。相手は、誰だったのだろうか
「…あ、頭痛ねえ」
いつのまにか、頭痛はしなくなっていた
「失礼します」
「お前…寝とけっていっただろ」
「それが…頭痛がなくなって…」
「なくなった?」
「はい…俺もよくわかりません」
今まで、頭痛は見た出来事が過ぎるまで続いていた。今までとは、まったく違うものとでも言うのだろうか
「…今日は事務だけにしとけ」
「え」
「お前の仕事は朱雀が今やってる」
「…」
「金払うなよ」
「はい…」
翌日
「おはようございます」
「あぁ…頭は? 」
「なにも…」
「過労じゃね?」
「…遊んでただけですが…」
過労。それは暗の方だろう。自分は、荊棘達と遊びに行っていただけなのだから
「ま、よかったじゃねえか 」
「はい。心配かけました」
「ん〜。…気ぃぬくなよ」
「分かりました」
道満も、飯綱の頭痛の件についてはかなり調べた。しかし、そもそもそんな夢を見る人間はいないに等しいし、頭痛つきなんて飯綱くらいだろう。それも、かなり正確に。故に、全くと言っていいほど資料がないのだ。頭痛以外身体に害はない。ただ、精神面ではかなり辛いだろう。もし、誰かの最期を予知したら?
「道満さん?」
「ああ…なんだっけか」
「…その、朱雀さんが…」
「あ?」
「やっほーあっちゃん」
「しね」
「うわぁっ辛辣ぅ!」
「なんのようだ」
「いや…終わったよーってだけ」
「あっそ。じゃ」
「どう思う?」
「道満さん…」
「…はいはいお疲れ。で、もう一個行ってこい」
「え?!俺馬車馬じゃないんだけど?!」
「一緒だろ」
「ええ…」
「じゃあ、それ俺行ってきますね」
「「え」」
「朝、多分仕事押し付けちゃいましたし…行ってきますよ」
「いや、お前、頭痛…」
「ないです」
「頭痛…」
「消えました」
2人とも、こう言う場合絶対に意見を曲げない
「…わかった。ただ、途中でしんどかったりまた頭痛がぶりかえすようなら連絡しろ」
「はい」
ああ、そういうことか。頭痛のいう凶事ってのは…これか
「い、飯綱くん…?なんで…こんなところに…」
「きみが、やったんか…?」
やっと片付けた死体の上で休んでいると、そこに現れたのは凛太郎と晴明だった
「なんでこんなところにっていう質問に関しちゃあ俺も同意見だ…そうか」
「え」
「晴明くん、下がって!」
「お前ら同郷か」
「ちぃっっ…舐めんなやあ!、」
「っ!」
飯綱は2人を斬るべく鎌を向けたが、それは凛太郎に阻まれ、あまつさえ鎌を取られた
「これで武器は封じたで。…しかしこの鎌…。お前がかまいたちかいな。まあ、これで詰みや」
「…誰が武器は鎌だけだと?」
飯綱がいつも鎌を入れている袋から出したものは、刀だった
「こいよ」
「言われへんでも!!、」
凛太郎は銃や先ほど飯綱から奪った鎌で攻撃を仕掛けて行くが、飯綱は軽くそれを 刀ではらう
「なんや…いうてはようないやないか…!」
「いうわりには馬鹿力だけじゃねえか…!」
鍔迫り合いの中、飯綱はある決断をした
「っっまずい、晴明くん!」
「っっまってよ、飯綱くん!話し合おうって!平和的にさ!!!!!!!!!!!!!」
「平和ね…んなもんこの世界にはねえんだよ」
「っ」
「晴明くん! 」
「ぇ…」
パァンパァン
「っガハッ」
「え、」
ヒュンッッッ
「っっっっっ…」
「飯綱くん!!!」
2回、銃声が響いたかと思えば、飯綱は肩と脇腹を撃たれ、そのままもろに頭をパイプで殴られ、晴明の足元に倒れた
「え…ま…え…?」
「晴明くん…」
「若!ご無事ですか?!」
「なんで、撃ったの…」
「え…?」
「君は、こいつに殺されかけたんやで?」
「違う!!!!!!!!!!!!!」
いきなり、晴明は叫んだ。そして、飯綱の止血をしようとする
「違う、飯綱くんは、そんなやつじゃない!」
「違うて…!何を根拠にそないなことが言えるんや?!」
「だって!だって…じゃあなんで、飯綱くんはあんな顔してたんだよ!!」
「かぉ?」
晴明は、確かに、飯綱が躊躇したのがわかった。それに、とても苦しそうな顔をしていたから。直前まで殺気はあったかもしれない。でも、飯綱は斬るのを躊躇した。そして、撃たれたときに、微かに笑ったような気がした。意味がわからない。彼の身体能力を知っているからこそ、避けると思っていた。なのに、避けなかった。今も、血が全然止まらない。致命傷には至っていないが、このまま失血死してしまう。そんなことくらい、飯綱もわかっていただろうに。殺されることくらい
「止まれ止まれ止まれ…!とまってよ!!!」
「晴明くん… 」
凛太郎も、部下達も、その光景を見ていることしかできなかった
パァン
『!』
突然の銃声。そして
「飯綱くんは返してもらいますよ」
「嘘やろ…蘆屋、道満…」
音もなく現れた道満は、飯綱の負傷具合に驚いていた。2箇所を撃たれ、頭から血を流している。さらに、憎き男によく似た男が必死に止血している。やはり無理に止めておくべきだったか。道満は、仮面の下で小さく舌打ちした
「…下っ端ですか」
「僕がいるのに不満かな?」
蘆屋道満直々の登場に混乱していた場に、もう1人現れた
「…久しぶりですね。晴明」
マフィアの頂点とも言える2人の登場…これは二大組織の抗争を暗に語っていた