※旧国、グロ
解剖したい
ふと、ナチスはそう思った。
目の前で眠るイタリア王国は可愛らしく、自他共に認めるほど端正な顔立ちをしている。
そんなイタリア王国の中にもグロテスクな血肉や臓物が詰まっていて、小さな小さな細胞によって構成されている。
そう考えると、ナチスはどうしても中身を暴きたくて仕方がなくなった。
その綺麗な顔がどのように歪むのか、どのように鳴くか、国でも腹の中は人間と変わらないのか。
血の色は、臓物の形は、体内の温度は。
想像を重ねるごとに欲求は強まり、気がつけばイタリア王国の服を剥いでいた。
「…悪く思うなよ」
ここでイタリア王国が起きていたなら、何かが変わったかもしれない。
もし起きて抵抗してくれたら、まだ踏み止まることができたのだろうか。
しかしどちらにしろ、このような欲求を抱えたまま共に暮らすのは難しい。
きっといつかは、こうなっていた。
「ん…んん…?」
長いまつ毛に覆われた目を開けると、イタリア王国はまず寒さを感じた。
それもそのはず、柔らかく温かいベッドから硬い手術台に乗せられていて、着ていた服は首元までたくし上げられているのだから。
四肢と首、腰を手術台に固定されていて、身動き一つ取れない。
ひどく異常な光景に、イタリア王国はサーッと青褪めた。
「な、なにこれ…ナチ?日帝?どこ…?寒いし怖いよ…誰かいないの…?」
恐怖でカタカタ震えていると、聞き覚えのあるコツコツという足音が聞こえてきた。
「起きたか、イタ王」
「!ナチだ!お、お願い、これ外して!僕動けないの!」
取り敢えず助けは求めたが、知り合いのはずなのに嫌な予感が止まらなかった。
イタリア王国は首が固定されているため、ナチスの方を向けない。
彼の声はやけに弾んでいる。
「おおよしよし、そんなに怯えるな。お前はそのまま寝ているだけでいいからな 」
こちらの言うことは全て無視して、愛おしそうに頭を撫でられた。
やはりナチスに違いないが、気味が悪いほどのニヤケ顔だ。
まるで、今から最高に楽しいことでもするかのような、期待に胸を踊らせているような、そんな顔。
頭は警鐘を鳴らし続けている。
「…ね、ねぇ…何する気…?」
「これからわかる。少し、私の欲求に付き合ってほしいだけだからな」
「絶対ロクでもないでしょ…ねえ、離してよ!」
手足を無理に動かしてみるが、ただ金属音が鳴って、手足首が痛くなるだけに終わった。
「そんなに暴れなくてもいい。事が終われば解放する」
「嫌だから暴れてるの!!僕に何する気か答えて!!」
「はぁ…仕方ないな、私もそろそろ我慢の限界だ」
もしや、新たな性癖にでも目覚めたのだろうか。
だが足を開かれたままの拘束というわけではなく、至って普通の体勢で寝かされている。
何かカチャカチャと金属音が聞こえた後、またカツカツコツコツ足音が近寄ってきて、胸の辺りに冷たいものを感じた。
「ひっ…な、なにそれ…?」
「メスだ」
「め、めす…しゅ、手術でもする気なわけ…?」
「…まあ、半分正解だ。腹を掻っ捌きはするからな」
なんということだ。
イタリア王国はまたジタバタと暴れたが、やはり拘束具は外れない。
胸に当たる冷ややかな感触は、スススー…と下腹部に降りて、目印とばかりにちくりと刺された。
「痛っ…ちょ、ちょっと、ねえ!せ、せめて麻酔とかないの!?まさかこのままっ…!」
「御名答」
ザクッ
「ひぎッッ!?!?」
胸元を撫でられたかと思うと、突然衝撃が走った。
2人の鼓膜にはぐちゃぐちゃという音と、イタリア王国の絶叫が響いた。
段々開いていく真っ白な腹を見て、ナチスは興奮冷めやらぬ様子でメスを走らせる。
「いだい゛いい゛いい゛!!!やめ゛て゛ぇえええ゛!!!!!」
「こらこら、あんまり暴れたら余計なところまで切ってしまうだろう。殺す気はないんだ、大人しくしろ」
無理に決まっている。
痛みによって更に暴れるイタリア王国にため息をつきながら、ひとまず印をつけていたところまで開くことに成功したナチス。
目からボロボロと涙を溢し、嫌だやめてと叫び続けるイタリア王国。
堪えるために奥歯を噛み締めていたが、ガリッと欠けてしまった。
「ふむ…そのままでは舌を噛み切らん勢いだな。少し待っていろ」
「い゛か゛ない゛でッッ!!!いた゛いのいや゛ぁあ゛ああ!!! 」
開いた腹に隙間風が当たり、 内臓か血管かは知らないがとても痛い。
バタバタする筋肉の伸縮によっても痛みが発生して、背中には嫌な生温かさがある。
そんな流血しているイタリア王国を放置して、ナチスはどこかに行ってしまった。
「ひゅー…ひゅー…」
「すまない、遅くなった。思っていたよりいい感じのものがなくてな」
イタリア王国は最初のように絶叫するのはやめたようだ。
体力を失ったのだろう、大人しくなっている。
だが息をするのも苦しいようで、呼吸音すら極めて大人しい。
「ほら、次からはこれを噛めばいい」
ナチスは薄く開いた口に指を突っ込み、無理矢理開口させた。
そして丁度良い大きさに折られた清潔なタオルを噛ませ、固定した。
これなら「舌を噛み切って死亡」などという事故は発生しないだろうという、ナチスの粋な計らいである。
そもそもこんな残虐的なことをしなければ良い話、ということは内緒だ。
「では、続きからだな」
ナチスはほのかに顔を赤らめ、ゴム手袋をした手で傷口を広げた。
そして中身が曝け出された状態で皮膚の端を軽くフックに引っ掛けられ、固定された。
「ん゛ッッッーーーー!!!!」
いくら疲弊していようがこのような苦痛に耐え切れるはずもなく、イタリア王国はタオルを噛み締めて苦痛を訴える呻き声を上げた。
「はぁ…はぁ…///綺麗だぞ、イタ王」
全く嬉しくない。
「お前は中身まで綺麗なんだな///わかるか?お前が動くたびに中身も揺れているんだ。はぁ…このまま剥製にしたいな…♡」
「ん゛んッッーーー!!!んゔぅぅ゛ぅぅう゛!!」
あろうことか、ナチスはイタリア王国の内臓に触れてきた。
腹の中を直接触られ、そのような刺激に麻酔なしで耐えようとさせるナチスは鬼畜以外の何者でもないだろう。
イタリア王国は懸命に神に祈って救いを求めていたが、目の前にいるのは悪魔。
当然伝わることはなかった。
「肋骨か…折ったらどんな反応をしてくれるんだ?」
「んん゛んん゛ん゛んん゛!!!!」
コツン、と骨を指で弾かれ、イタリア王国はとうとう失禁してしまったようだ。
「ははは、お漏らしか?みっともないなぁ、イタ王」
そうさせたのはお前だと言いたいが、もはや尊厳すら破壊されたイタリア王国の脳は痛みを伝えることに必死で、ただこの危機を脱しようと肉体を暴れさせるのみ。
自身の色々な体液で濡れたイタリア王国は、ナチスの目には女体盛りと等しいくらい欲を駆り立てるものだった。
「さて…あまり長い時間開けているのも衛生的に良くない。縫ってやろう 」
「ん゛ぅ゛ぅぅぅゔゔ!!!」
固定していた部分からフックを外し、ナチスはまたカチャカチャと音を立てて道具を持ってきた。
「動くなよ。手元が狂ったら、苦しむのはお前だ」
ナチスは幼子に言うように優しく言い聞かせ、決して優しくない縫合を始めた。
針が皮膚に当たって、一気に貫かれる。
そして糸も通過しながら傷口を渡ると、もう一度貫かれて、縫われていく。
針が刺さる痛み、糸が擦れる痛み、傷口に触れる痛み、全てが脳を焼き切るほどの苦痛なのに、遠慮なしにガシガシと縫われる。
確かに戦場ではこのように縫われることもあった。
だが、いくらなんでも酷い。
多少足や腕の深い傷を縫われるだけならまだしも、内臓や骨を触って遊んだ後にこうなのだ。
フックにかけられていた場所は少し抉れていて針が近くを通る痛みは並外れているし、そもそも内臓が見えるほど開くのがおかしい。
趣味で手術の真似事のような酷いことをするな。
半分ほど縫われたイタリア王国は、プツッと意識を飛ばした。
あれから一週間が経ち、イタリア王国は腹に力を込めることができなくなった。
縫われたとはいえ傷は深すぎるものであるので、何をしていなくても痛み続け、起き上がろうものなら激痛に見舞われる。
当然立つことはできず、仰向けになって1日の大半を寝て過ごしている。
食事を摂ることも恐ろしく、具のないスープ一杯を飲んで眠りにつく。
必要な栄養はナチスがスープにサプリを溶かしているので問題ない。
あるとすれば、かなり不味いことだろうか。
そんな日々を過ごしていたある夜、ベッドが軋んだ。
痛み止めを飲まないと寝られないイタリア王国は当然目覚め、うっすらと目を開けた。
「起きたか、イタ王♡」
再現されるトラウマに吐き気を感じつつ、イタリア王国は「なに?」と声をかけた。
「そろそろ傷も塞がってきただろう?だから、致そうと思って」
何を言っているのだろうか、この野郎は。
「…は?冗談やめて…今ほんとにキツいんだから…」
「冗談ではないぞ。バックでいいから、起き上がってくれ」
「…ちょっと、ほんとに何言ってるかわかんないって…起きれないの見てわかんない?俺痛いの、苦しいから退いて…」
「そうか、なら私が起こしてやる」
「は?…ッあ゛ぁああ゛!!」
抵抗しようにも、イタリア王国はろくに栄養を摂らず、運動どころか歩くことすら全くしていない。
そんな状態で、元より力負けしているナチスに抗えるわけもなく、ひっくり返されて四つん這いになってしまった。
「ふーッ…ふーッ…!」
「じゃあ解すからな。頑張って耐えろよ」
「ふ…ふざけんな゛!!ぁぐッ!」
ナチスだって、傷が治りきっていないことくらい知っている。
縫合した跡はくっきり残っているし、糸を切ればまだ開きそうなのもわかる。
だからこそ、このタイミングで襲っている。
彼にとって最も欲情するのは、好きな子の苦しんでいる顔だからだ。
イタリア王国はなす術もなく、想像を絶するような苦痛が快楽に変わるのを待つだけであった。
コメント
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読んでる最中つい自分の腹部を押さえてしまってた、 そして新たな扉の解放へ…✨
痛々しいだけども、興奮してしまった自分がいる