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俺は重罪人だ。
なんてったって人の視力を奪ったんだから。
今になっていじめられるのも納得できる。
近所の市立中学校に入学した。
「ほい」
痛い。シャー芯で背中を刺された。
「やめてよ…」
「は?お前は1人障害者を作ったんだから、こんぐらいで済むってこと、嬉しく思えよ。」
ストレス溜まる。
「兄ちゃん、おはよー。」
**通二(とおじ)**の声だ。
「うん、おはよう。」
俺はそっと目を開けた。
「あれ?え?…」
色が見えない。
俺の視界は昔の映画のように。
「兄ちゃん、どうしたの?」
「あぁ。何でもない。」
今日は休日。
うちの母はラーメン屋を経営しているので朝から仕込みに俺が行かされる。
近くの業務用スーパーについた。
あれ?あの人は…
日向茉緖だ。白杖を持っている。
俺には気づいていない。
謝るなら今だ。
「あの、結一だよ。覚えてる?小学生の時はごめ」
茉緒は逃げた。点字ブロックをたどって。
バタッ バタッ
茉緒にとっては結一の声を聞くより人にぶつかるほうがずっと楽なようだ。
茉緖はある児童館の中に逃げ込んだ。
迷わず結一は児童館の入り口を抜けた。
「石川、結一…」
そこには茉緖を庇うように彼女の姉が立っていた。
教育実習らしい。
「ひ、日向さんのお姉さん…」
睨まれた。
「うちの妹に関わらないで。お願いします。」
結一はうつむきながら帰宅した。
謝りたかっただけなのに。
いつしか
自分に色が見えないことを知ってもらいたくなった。
罪が軽くなると思った。
児童館に行ってみた。
案の定そこには茉緖の姉がいた。
「俺も、俺も目があれなんです。色が見えないんで..」
「今さら同情なんてしてもらえると思ってんの?うちの妹の視力を奪ったくせに!」
彼女は結一に殴りかかった。
一発受けた。
周りの職員さんが彼女を止める。
「あんたがいなければ…」
俺は弱い。ほんとに。
10月8日
残り16日
公園へサッカーの自主練をしに行った。
また会った。
謝る。
わざわざ自己紹介する前に謝ってみよう。
「ごめん、小学校の頃…俺…」
「え?石川…くん?」
鼻水をすすった音がした。
彼女は涙点を抑えながら
「お願い。話しかけないで。」
と言った。
茉緖のチックは治っていた。
「俺も、目の病気、あるんだ…」
彼女はこっちを向いた。
目なんかあう訳もないのに。
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