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朝日が昇るのと同時にサンタクロースは仕事を始めます。
ミルクたっぷりのカフェオレとバターを塗ったパンで朝食を済ませた彼は、赤いスウェットの上下に着替え、茶色のコートを羽織ると、まず大切な仕事仲間のトナカイ達の世話をするために外に向かいます。
トナカイ達にそれぞれご飯をあげる間、サンタクロースは彼らの毛並みをなでながら世間話を始めます。内容は大抵子ども達の話です。トナカイが子ども達の話を楽しみにしていることは、その嬉しそうな顔を見ていれば分かります。
みんなが朝食を終えると、サンタクロースは家の裏手にあるモミの木の様子を見に行きます。
体の大きなサンタクロースでも大きく見上げるほどに立派なその木の一番高いところにはお星様があります。
今は空が明るいのでよく分からないかもしれませんが、夜になるとこのお星様は夜空で一番の輝きを放ちます。そして、この光がこのモミの木を特別なモミの木にするのです。
サンタクロースはこの木を“プレゼントツリー”と呼んでいます。
彼がこう呼ぶ理由はそう、このモミの木にプレゼントの実が成るからです。
え? プレゼントって木に成るのって?
確かに、プレゼントを作るための工場で働くサンタや、はたまた街で一つ一つプレゼントを探しているサンタを今まで想像していた人もいるでしょう。
ですが、サンタクロースが子ども達に届けるプレゼントはすべてこの特別なモミの木、プレゼントツリーから生まれているのです。
ツリーには実際、すでに色とりどりの小さなプレゼントの実ができています。
ちょうど最近実に色がついて、目を凝らすとそれがプレゼントだと分かるくらいの大きさになってきたところなので、サンタクロースはその成長を毎日楽しみにしているのです。
「子ども達がよろこぶ顔が楽しみじゃな。大きく元気に育つんじゃぞ」
そう言って微笑みながら、サンタはプレゼントツリーに成った小さな実を眺めます。
クリスマスの前夜。その日までサンタクロースは大切にプレゼントツリーを育てるのです。
部屋に戻る前に郵便受けを覗いたサンタは、新しく届いた子ども達からの手紙を両手いっぱいに抱えて部屋に戻ります。
それを一日かけて丁寧に読んでいくのが彼の毎日の仕事です。
そうしてサンタが受け取った願いは、ツリーの星に託されます。そしてその願いを受け取った星が、ツリーにプレゼントの実をつけるのです。