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第12話 〚視線の正体〛


放課後。


澪は、一人で下校するはずだった。

けれど、校門を出た瞬間、背中に――

ぴり、とした感覚が走る。


(……また)


昨日から、ずっと。


振り返っても、誰もいない。

通り過ぎる生徒たち。

いつもと変わらない風景。


それなのに。


(見られてる)


確信に近い感覚だった。


澪は足早に歩き、

途中で方向を変える。


――コンビニの角。

――曲がり角。

――人の多い道。


それでも、

その“気配”は消えなかった。


「……っ」


胸が、苦しくなる。


そのとき。


「澪!」


聞き慣れた声。


振り向くと、

村上えま、石田しおり、河野みさとが

並んで立っていた。


「一緒に帰ろ」

「なんか顔色悪いよ」


その言葉に、

張り詰めていたものが、ふっと緩む。


「……うん」


四人で歩き出すと、

不思議と、背中の視線は遠のいた。


えまが、ちらっと澪を見る。


「……なにかあったでしょ」


澪は、少し迷ってから、

小さく息を吸った。


「……最近」

「誰かに、見られてる気がする」


しおりが、すっと表情を変える。


「気のせい、じゃなさそう?」


「うん……」


みさとは、冗談めかして言う。


「それ、普通に怖いやつだからね?」


四人で立ち止まる。


澪は、海翔の額のガーゼを思い出した。

昨日の予知。

暗い廊下。

歪んだ目。


「……海翔くんも、怪我してて」


その一言で、

えまの目が、すっと鋭くなる。


「誰に」


「……分からない」


えまは、拳をぎゅっと握った。


「澪、これから一人で帰るの禁止」

「絶対」


「えま……」


「冗談じゃないから」


しおりが、静かに頷く。


「何かあったら、すぐ言って」

「一人で抱えるの、一番危ない」


みさとも、珍しく真剣な顔。


「三人いるんだからさ」

「頼ってよ」


その言葉に、

澪の胸が、じんわり温かくなる。


(……私は、一人じゃない)


その夜。


澪は、部屋で本を開いたまま、

ふと、窓の外を見る。


街灯の下。

人影は、ない。


――けれど。


予知が、微かに流れた。


校門の影。

電柱の後ろ。

名前を呼ぶ、低い声。


澪は、ぎゅっと胸元を押さえた。


(……もうすぐ、分かる)


(この視線の、正体が)


誰も知らない、高嶺の花の裏側

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