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雨が降りしきる中、英集少年院の建物は異様な静寂に包まれていた。
建物の外壁を覆う、不気味な「帳(とばり)」。その内側では、特級呪霊の生得領域が展開され、虎杖悠仁、伏黒恵、釘崎野薔薇の3人は、これまでにない死の気配に圧倒されていた。
「逃げろ……! 早く!」
伏黒が叫ぶが、特級呪霊の圧倒的な呪圧を前に、足がすくむ。
呪霊がその異形の腕を振り上げ、虎杖の喉元を切り裂こうとした――その時。
パリィィィィィン!!
空気が割れるような、高く澄んだ音が響き渡った。
呪霊が、そして虎杖たちが、思わず頭上を見上げる。
「……あ? なんだ、これ」
ドス黒い呪力の空が、まるでガラス細工のように砕け散っていた。
その亀裂から漏れ出したのは、見たこともないほど純粋で、暴力的なまでに巨大な**「青白い光の粒(魔素)」**。
光の中から、一人の人影がゆっくりと舞い降りてくる。
腰まである透き通った青銀の髪。
雪のように白い肌と、金色の瞳。
その背中には、黒い翼のようなオーラがゆらめいている。
「……あー。ラファエルさん、これ絶対転移先間違えただろ」
少年とも少女とも取れる中性的な声が、絶望に満ちた現場に場違いなほど穏やかに響いた。
『告。座標設定に狂いはありません。しかし、この空間は異界のエネルギーによって構築された擬似空間……「領域」であると推測されます』
「領域? ……ああ、そういえば目の前のこいつ、不味そうな顔してるな」
リムル=テンペストは、地面に足を着くと、自分を殺そうと睨みつけてくる特級呪霊に視線を向けた。
呪霊は、目の前の「青い何か」から感じる底知れないプレッシャーに、本能的な恐怖を感じて動きを止めていた。
「おい、君! 逃げろ、そいつは特級だぞ!」
虎杖の叫びを聞き、リムルは初めて彼らに気づいたように首を傾げる。
「特級? よく分からんけど、魔物の親戚みたいなもんだろ?大丈夫だ。――俺は悪いスライムじゃないからな」
リムルが軽く指を鳴らす。
「『暴食之王(ベルゼビュート)』」
次の瞬間、リムルの影がドロリと広がり、巨大なアゴとなって特級呪霊を飲み込んだ。
呪いも、叫びも、領域そのものも。
すべてが「虚数空間」へと消え去り、そこにはただ、少年院の冷たいコンクリートの壁だけが残された。
「……は?」
伏黒が呆然と声を漏らす。
「……食った? 呪霊を……そのまま?」
釘崎が震える指先でリムルを指差す。
リムルが「さて、ここからどうしたもんか」と頭を掻いたその時。
背後の空間から、拍手と共に軽快な声が聞こえてきた。
「いやー、びっくりした。六眼で見てても一瞬だったよ」
振り返ると、そこには黒い目隠しをした長身の男――五条悟が立っていた。