・・・・・・・・
ある日の夕方私が夕食の買い物から帰ると、駐車場に俊哉の車が止まっていた、私はサァーっと背中が凍り付いた
え?平日のこんな時間に彼はめったに帰ってこないのに
彼が帰ってくる前に掃除をすればいいと、思っていたから部屋は散らかっている・・・
どうしよう・・・・
「お・・・おかえりなさいあなた早かったのね、具合でも悪いの? 」
玄関で靴を脱ぐのもそぞろに、彼の顔色をうかがう、驚いたことに彼の片手には缶ビールがあった、そして彼がもう片方の手にしているものを見た時
その瞬間世界がぐるりと一回転した
バレた
彼が手にしているものは、引き出しの奥にしまってあった、避妊用ピルだった
ゆらりと俊哉が立ち上がった、私は数歩後ずさりした
「今日・・・早く営業が終わって帰って来てみれば・・・・」
心臓が早鐘を打っている、人が突然危険な状況に追い込まれると、脳は二つの機能を働かせる
一つは慌てふためいて現実に対処しようとするのと、もう一つは一歩引いて今なにが起こっているのかを理解しようとする
「俺にずっと嘘をついていたな・・・・」
どんよりと曇った俊哉の目が、獲物を捕らえた残酷な生き物の様な輝きを放っている
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!