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ルーシーの言葉にハッとした。その瞬間、奴がナイフをこちらに突き刺そうとしているのが目に入った。こちらの体制が崩れた瞬間に縄を振りほどいていたらしい。間一髪でナイフを避け、奴を取り押さえる。
「い”っ…」
その時、ルーシーが苦しそうな声をあげた。彼女の脚に、奴が持っていたナイフが刺さっていた。奴らの狙いは、俺ではなくルーシーだったのだ。
「ルーシー!」
「大丈夫っす…。すぐ治せるんで。あ、このナイフ、毒塗ってあるっすね。タチ悪ぃなクソ…」
こいつらは危険だ。教育…いや、
“粛清”対象である。と、動き出そうとしたその時だった。
「女、お前、破滅の力があるだろう」
「…は?」
突然の言葉に何も言い返せない。俺もルーシーも、ただその場に立ち尽くすしかなかった。なぜ奴らがルーシーの家系能力を知っているのか、それは定かでは無い。そして、なぜルーシーに敵意を向けるのかも分からない。何もかも理解が追いつかないまま、ただ、沈黙の時間が流れる。そして、ルーシーが重たい口をひらいた。
「…何故破滅の力を知っている。わたしがどれだけ文献を調べても出てこなかった。」
空気が痺れる。奴が本気で怒っている。ルーシーが発する一言一言全てが重く、耳を圧する。
「何故貴様如きが、わたしの能力を知っている。応えろ。貴様に拒否権はない。」
「…我々は永い間破滅の後継者を探していた。あの方の力はもう底を尽きかけている。」
「あの方、とはなんだ。そのあの方とルーシーに一体なんの関係がある。」
「あの方の力を取り戻すには同じ力を持った悪魔を生贄に捧げなければならない。」
「お前は」
“生贄だ”